https://twitter.com/mkt5126/b  https://twitter.com/mkt5126/c  http://twilog.org/mkt5126      TweetsWind                   TweetsWind                   TweetsWind


2013年05月29日

「アベノミクス」 と 「国債 債券」の市場

誠天調書: 東海村 レベル5。 それは ウツクシイ の末路。
http://mkt5126.seesaa.net/article/363630379.html
の続きかな、違うかもしれないけど。
というか 最近に知りたい事 の話へまで 少しだけ届いたかな。



小麦は安くならないの?E 食料安定供給特別会計 (独)農畜産業振興機構 - 土のうえ のブログ
http://blogs.yahoo.co.jp/umebaze/8699376.html


小麦は安くならないの?F食料安定供給特別会計 積立金、剰余金の言い訳編- 土のうえ のブログ
http://blogs.yahoo.co.jp/umebaze/8699882.html


小麦は安くならないの?G 食料安定供給特別会計と食糧証券 裏帳簿がある筈です - 土のうえ のブログ
http://blogs.yahoo.co.jp/umebaze/8700338.html


2009政権交代の前に見たかった記事。
俺では辿りつけない場所への記事を書いてくれる人は 本当に嬉しい。

食糧証券 食糧債券 かぁ
言葉は知っていても 其れが意味する入口へすら 俺は辿り着いていなかったから 本当に嬉しい。


政府短期証券とは|金融経済用語集
http://www.ifinance.ne.jp/glossary/bond/bon068.html

食糧証券 とは - コトバンク
http://kotobank.jp/word/%E9%A3%9F%E7%B3%A7%E8%A8%BC%E5%88%B8

TBとFB
http://www.geocities.co.jp/WallStreet/2048/bond/point5.html

国庫短期証券とは|金融経済用語集
http://www.ifinance.ne.jp/glossary/bond/bon041.html


国庫短期証券 〜 インフォバンク マネー百科
http://money.infobank.co.jp/contents/K500312.htm

コンベンショナル方式 〜 インフォバンク マネー百科
http://money.infobank.co.jp/contents/K500181.htm


大和証券/用語集/価格競争入札コンベンショナル方式
http://www.daiwa.jp/glossary/jpn/00908.html

 ↓
自治体の資金運用 歳計現金の保管 積立金の運用
http://www.jfm.go.jp/financing/pdf/support/H23/jinzai/110922_koborebanashi.pdf



たとえば こういう記事を読む。

http://jp.reuters.com/article/marketsNews/idJPL3N0DY0XD20130517

あります。[東京 17日 ロイター] - 来週の短期金融市場で、無担保コール翌日物金利は0.07%を中心に上下する展開が見込まれている。準備預金の積み初期段階で一定の調達需要が示される可能性があるが、日銀の異次元緩和を受けて資金余剰傾向は不変なため、金融機関の資金調達意欲は限られる見通し。国庫短期証券 入札は21日に2カ月物、23日に3カ月物と相次ぐが、日銀の積極的な買入を支えに落札利回りは低下余地を模索する見通し。
無担保コール翌日物金利の予想レンジは0.065%─0.080%。  3カ月物国庫短期証券の利回りのレンジは0.090%─0.010%。

来週の資金需給は、20日が国債発行要因で大幅に不足するが、21日以降は大きく変動する日は少ない。当座預金残高は20日に64兆円台に減少した後、21日以降は60兆円台後半で推移し、国債買入れなどのオペ動向次第で4月17日の過去最高(69兆7200億円)更新も視野にに入る見通し。

コール市場では準備預金の積み期前半で金融機関の潜在的な資金調達ニーズは底堅いが「これだけ当座預金残高があると、早めに積みを進めるインセンティブが働きにくい」(国内金融機関)として、無担保コール翌日物金利は0.07%を中心に0.065─0.075%のレンジで上下するとみられている。

国庫短期証券は、日銀による積極的な買入期待を背景に利回り低下を探る展開が予想されている。15日の1年物国庫短期証券入札では、国債市場の混乱を受けて最高落札利回りが0.1001%と昨年6月以来の0.1%台を付けた。日銀が異例ともいえる1年物の共通担保資金供給を通告して長めの金利上昇をけん制する姿勢を示したため、16日の3カ月物入札では最高落札利回りは0.0982%と0.1%割れで着地した。

流動性低下を背景に相場変動率が高まった国債市場混乱の影響を受けやすいが「日銀が断固として1年以下の利回りをおさえ込む方針を明確にしたことで、国庫短期証券は利回り低下余地を探る動きになるのではないか」(国内証券)という。21日の2カ月物、23日の3カ月物の入札はいずれも0.09%台での決着が予想されている。

ユーロ円3カ月金利先物はレンジ相場が継続する見通し。不安定な展開が続く国債市場動向の動きに神経質になりやすいが、原資産のTIBORがこう着感を強め、金先独自の手掛かりに欠けているためだ。中心限月2013年12月限は99.760─99.770を中心に推移する見通し。

波乱材料を見つけるとすれば、21─22日の日銀金融政策決定会合。政策変更なしがメーンシナリオで「急激な金利上昇を招きかねない一段の円安を政府・日銀とも望んでいないのではないか」(国内金融機関)との見方が出ている。一方で、これまでの日銀の政策運営を踏まえると、「日銀がサプライズを狙って何を打ち出してくるか、総裁が会見で何を発言するのか、わからないという警戒感がくすぶっている」(国内金融機関)という。

http://jp.reuters.com/article/wtInvesting/idJPL3N0E81M620130528
[東京 28日 ロイター] - 〔金利マーケットアイ〕


<15:10> 翌日物の加重平均0.07%前後か、固定金利オペが札割れ
無担保コール翌日物の加重平均レートは0.07%前後と前日(0.072%)に比べて小幅低下する見通し。初の70兆円台に増加する高水準の当座預金残高を受けて資金余剰感が一段と強まり、金融機関の資金調達圧力は限られた。日銀が実施した共通担保資金供給(全店、固定金利方式)は、応札額が3170億円と入札予定額8000億円に届かず札割れ。1カ月物の札割れは13回連続。ユーロ円3カ月金利先物は期先にかけて弱含みに推移したが、出来高は低水準。


<14:25> 国債先物142円10銭付近、宮尾日銀委員の講演に反応限定
国債先物は小動き。中心限月6月限は142円10銭付近で推移している。

日銀の宮尾龍蔵審議委員は28日午後、都内で行われた講演で、長期金利の動向について「債券市場の動きを丹念に点検し、市場参加者と密接な意見交換を行いつつ、弾力的なオペ運用を行っている」と述べた。  

三菱UFJモルガン・スタンレー証券・債券ストラテジストの稲留克俊氏は、宮尾委員の講演で、1)国債買入によるイールドカーブ(利回り曲線)全体引き下げ効果の撤回、2)金利上昇の要因として景気改善や欧米金利上昇の指摘、3)物価目標2%の柔軟性──などに言及した点が注目されるとしている。もっとも「黒田日銀総裁の22日会見に沿った内容で、円債への影響も限られるだろう」との見方を示した。


<12:51> 20年債入札結果は低調、国債先物は142円割れ  財務省が午後零時45分に発表した20年利付国債(表面利率1.6%)の入札結果によると、最低落札価格は98円60銭、平均落札価格は98円81銭で、最低落札価格と平均落札価格の開き(テール)は21銭と前月債と同じ。また、応札倍率は2.54倍と前月債(3.68倍)を下回り、2012年8月債以来の低水準。 市場では、最低落札価格が市場予想を下回り「低調な結果」(外資系証券)と受け止められた 国債先物は午後寄り直後、円安・株高に振れたことに加えて、低調な入札結果を嫌気して下げ幅拡大。中心限月6月限は一時前日比53銭安の141円90銭と2営業日ぶりの142円割れ。


<11:15> 翌日物0.065─0.07%中心、レポGC低下基調

28日午前の短期金融市場では、無担保コール翌日物は0.065─0.07%中心での取引。主な取り手は地銀、信託など。大手行は0.065%付近での出合い。当座預金残高が過去最高規模に膨らむ中、資金需要は限定的で、レートは0.07%から低下方向となった。レポ(現金担保付債券貸借取引)GCも低下基調。T+1レートは0.08%を下回る方向。前週に相次いで打たれた日銀オペがレートの低下要因。

ユーロ円3カ月金利先物は動意薄。足元の中心限月2013年12月限は前営業日比変わらずの99.760。


<11:05> 国債先物は反落、長期金利0.860%に上昇    国債先物は反落で午前の取引を終えた。27日の米債券市場がメモリアルデーで休場だったため、手掛かりが乏しく、序盤は模様眺めとなった。その後は日経平均株価の推移を慎重ににらみながら、きょう実施される20年債入札に絡んだヘッジが優勢となった。1.7%クーポンへの期待があっただけに、1.6%の143回リオープンで決着したことをやや不安視する声が聞かれた。現物債は各ゾーンで利回りに上昇圧力がかかった。先物主導で中長期ゾーンが弱含み。市場で入札順調と判断し利回りが低下していた20年債利回りも終盤にかけて調整地合いとなった。   国債先物中心限月6月限の前引けは、前営業日比16銭安の142円27銭。長期金利は同2.5bp高い0.860%に上昇。


<10:38> 20年債入札は1.6%クーポンで決着、「1.7%期待の向きは様子見も」の声  財務省がきょう入札を実施する20年利付国債(143回リオープン、1兆2000億円、2033年3月20日償還)のクーポンは前回債から0.1%引き上げられ1.6%となった。入札に関して市場では「1.7%クーポンを予想する声が多かっただけに、やや不安な面はある。業者は143回債をショートにしているところがあると思われるが、投資家にすれば新発債への期待があった分、様子見となるところが出てきそうだ」(外資系証券)との声が聞かれた。


<10:05> 20年債は逆行高、入札順調想定で先回り買い
20年債が逆行高。20年144回債は前営業日比0.5bp低下の1.660%で推移。他のゾーンの利回りに上昇圧力がかかっているが、20年債の利回りは小幅だが低下している。市場では「入札を順調と判断した一部投資家の先回り買いが見られる」(外資系証券)との声が聞かれた。   <09:30> レポGC低下基調、ユーロ円金先は動意薄    レポ(現金担保付債券貸借取引)GCは低下基調。T+1レートは0.08%を下回ると見られている。市場では「前週に相次いで打たれた日銀オペがレートの低下要因。国庫短期証券の需給も引き締まる方向となっている」(国内金融機関)との指摘が出ていた。

日銀は、朝方の定例調節で即日実施のオペを見送った。無担保コール翌日物金利は0.065─0.07%中心での取引。主な取り手は地銀、信託など。大手行は0.065%付近での出合い。当座預金残高が過去最高規模に膨らむ中、資金需要は限定的で、レートは0.07%から低下基調にある。

ユーロ円3カ月金利先物は動意薄。足元の中心限月2013年12月限は出合っていない。


<09:18> 20年債は底堅い、一方で長期金利は上昇
20年債は底堅い。20年144回債は前営業日比横ばいの1.665%での寄り。市場では「1.7%クーポンを視野に入れている市場参加者が多くなっているため、もう少し調整がほしい場面」(外資系証券)との指摘があり、先回り買いをけん制する声が聞かれた。国債先物は下落幅を広げている。入札絡みのヘッジに加え、続落でスタートした日経平均株価が一転反発地合いとなっていることに反応した。短期筋の戻り売りもみられるとの声が一部で聞かれる。先物主導で、10年最長期国債利回り(長期金利)は前営業日比1.5bp高い0.850%に上昇。

<09:03> 国債先物がマイナス圏に沈む、20年債入札前のヘッジも  国債先物がマイナス圏に沈む。6月限は小幅続伸で始まったが、「20年債入札に絡んだヘッジが優勢になっている。一方で、日経平均株価が続落でスタートしたことで、一方的に売り込む地合いにはなっていない」(国内金融機関)との指摘が出ていた。足元の6月限は前営業日比9銭安の142円34銭近辺で推移。


<08:48> 国債先物は小幅続伸でスタート、20年債入札控え上値重い
国債先物は小幅続伸でスタート。6月限の寄り付きは前営業日比3銭高の142円46銭。27日の米債券市場がメモリアルデーで休場だったため、「手掛かりが乏しく、序盤は模様眺めとなっているようだ。前半は前日に大幅安となった日経平均株価の展開をにらんだ取引となるだろう」(国内証券)との見方が出ていた。また、きょう実施される20年債入札に絡んだ動きが、前引けにかけて出てくることが想定されており、「ヘッジなどから調整地合いとなる可能性もあり、上値が重くなる場面もありそうだ」(同国内証券)との声が聞かれた。


<08:31> 翌日物0.065─0.07%中心、資金余剰感強くレートは低下基調
無担保コール翌日物は0.065─0.07%を中心に取引されている。主な取り手は地銀、信託など。大手行は0.065%付近で出合っている。市場では「当座預金残高が過去最高規模に膨らむ中、資金需要は限定的で、レートは0.07%から低下基調にある」(国内金融機関)との見方が出ていた。

日銀によると、朝方の金融調節を見送った場合、当座預金残高は72兆4000億円、準備預金残高は59兆2000億円程度となる見込み。


<07:14> 翌日物は0.065─0.07%中心か、当預残は過去最高の72.4兆円見込み
無担保コール翌日物は0.065─0.07%を中心にした取引となりそうだ。28日は国からの地方への貸付金が出るため財政面で余剰、さらに日銀オペのスタートで当座預金残高は初の70兆円台乗せとなり、資金余剰感は一段と強まる見込み。市場では「当座預金残高が過去最高規模に膨らむ中、資金ニーズは限られるだろう。ただ、レートそのものは下限にあるため、低下余地は乏しく、大手邦銀で0.065%、地銀や信託で0.07%を中心にした取引になりそうだ」(国内金融機関)との見方が出ていた。    27日の加重平均金利(速報ベース)は、前営業日比0.001%低い0.072%だった。    日銀が朝方の金融調節を見送った場合、当座預金残高は27日に比べて4兆4000億円増の72兆4000億円程度になる見込み。残り所要積立額は5500億円。


こんなのが検索で引っ掛かった これは2001年頃の記事と思われる。
ただし 色々と学べる点も少なくない。

http://fp.st23.arena.ne.jp/jgb.htm
日本の国債の仕組み

https://twitter.com/ushikuma
どっかで見たこと有る気がするけど もう忘れたw

http://fp.st23.arena.ne.jp/
あくまで投資家へ向けの有料情報の人だけど それ以外も中々に面白かった。
本当の 国債のスペシャリストの人 みたいだね。


日本国債の歴史年表
http://fp.st23.arena.ne.jp/history2010S.htm


ネットで調べる経済指標
http://fp.st23.arena.ne.jp/EI.html

臨機応変(日々の債券市況)
http://fp.st23.arena.ne.jp/hitokoto.htm

臨機応変(日々の債券市況) 2013年4月
http://fp.st23.arena.ne.jp/hitokoto/h1304.htm

臨機応変(日々の債券市況)過去ログ
http://fp.st23.arena.ne.jp/hitokoto-log.htm


若き知
http://fp.st23.arena.ne.jp/keio.htm

若き知 2013.4
http://fp.st23.arena.ne.jp/keio/k1304.htm

若き知(過去ログ)
http://fp.st23.arena.ne.jp/keio-log.htm


こういう本物の人の話は とても参考になる。
2013.4以降の動き へ 国債から眺める人の言葉は とても興味を深く覚える。


2013.4.9「4月5日の債券相場の乱高下の要因」

4月4日の日銀による異次元の大胆な金融緩和は、円安・株高・債券高を演出したものの、5日の債券市場はいったん高値をつけながら急落するなど、非常に荒れた展開となった。長らく債券市場を見てきたが、これほどの値動きはあまり記憶にはない。この動きを見る限り、日銀の大胆な金融政策の影響により、今後の国債市場への流動性や市場機能(価格発見機能)の低下への懸念も出てきているように思われる。

債券市場は他市場に比べて、いわゆる手口情報が表に出ることはない。債券市場の取引は債券先物などを除いて、業者と投資家が直接売買する店頭取引が中心である。その際、いわゆる業者と呼ばれるプライマリー・ディーラーを中心とした証券会社などは、投資家との具体的な取引を口外してはいけない、いわゆる守秘義務を負っている。このため、ある程度はそれぞれの債券の値動きなどからそれを推測しなければいけないが、それを前提の上で5日の債券市場の動きを再確認してみたい。

4日決定された日銀の量的・質的金融緩和の導入を受けて、4日の引けあと10年債利回りは0.425%と2003年6月以来の過去最低利回りを更新した。これまでの10年債利回り、つまり長期金利の最低は2003年6月11日につけた0.430%であった。この日に30年債利回りは0.960%、20年債利回りも0.745%に低下しており、これがそれぞれの過去最低利回りだと思われる(私の手元の記録上)。

日銀は4日の夕方に具体的な国債買入の方法も発表し、超長期債も含めて大量の国債買入の構図がはっきりした。基金による国債買入は残存1年から3年までのもので毎月2兆円程度を購入していたが、それを加味しても、大きく増えるのが1年から10年までのところであり、超長期債についても発行規模を考慮すると日銀による購入の影響は大きくなる。ただし、1年以下の部分についてはさほど大きくはなかった。

4日の東証でのイブニング・セッションでは146円44銭の高値引けとなり、LIFFEの円債先物の清算値も146円44銭と買い進まれていた。このため5日の債券先物は買いが先行し、4日の15時の引けからは34銭高の146円38銭で寄り付いた。10年債も0.375%と4日に記録した過去最低水準0.425%を大きく更新しての出合いとなった。

寄り付き後、債券先物は146円41銭まで買われたが、4日のイブニング・セッションでつけた146円44銭には届かなかった。イブニング・セッションは形式上は翌営業日の約定分に加わるため、5日の高値は146円44銭となり、これが過去最高値として記録に残るのかもしれない。

10年債利回りも急低下し、0.4%を割り込み一時0.315%まで低下した。超長期債もショートカバーなどの動きも入ったのか、20年債、30年債ともに1%割れに。20年債利回りは0.845%に低下、30年債利回りは0.925%に低下した。これまでの記録は2003年6月11日につけた30年0.960%、20年0.745%であれば、30年債は過去最低利回りを記録したことになる。

黒田東彦日銀総裁は5日午前の衆議院議運委員会で行われた所信聴取で、金融緩和策の出口戦略について語るのは時期尚早だが、出口のリスクについても検討したい、と述べた。これについては、ほとんど相場には影響はなかったと思われる。

債券相場は次第に上値が重くなった。円安・株高の進行もあったが、買われた要因が同じである以上は、この株高が影響したことも考えづらい。このタイミングで債券が売られた最大の要因は、あたりまえではあるが、高値にあったための利益確定売りであったとみられる。

債券先物は10時頃には146円を割り込み、5年債は0.140%、10年債は押し戻されて0.4%台に。1%を割った超長期ゾーンも戻り売りに押され、1%近辺に。この下落のひとつのきっかけとして、10時10分にオファーされるとみられた日銀による新方式の国債買入がなかったためとの見方がある。これはきっかけにはされた可能性はあるが、主因ではないと思われる。オペがないとの理由でその後の暴落を招いたならば、今後の債券相場は日銀のオペの有無で乱高下しかねない。新方式が前日夕方発表されたばかりで、翌日にそれを期待して買い込むような投資家がいるとは思えない。ただし、このあたりは日銀も神経質になったとみられ、7日の日経新聞一面には、日銀の新方式の国債買入は今週スタートするとの記事が掲載されていた。

後場の債券先物は145円65銭で寄り付き、その後に相場が急落したわけだが、その要因として12時45分に発表された流動性供給入札結果が低調であったためとの見方もある。たしかに市場実勢に比べて低調な結果であったかもしれないが、5日の債券相場の急落は値動きや出来高を見る限り、超長期債主導ではない。ちなみに今回の流動性供給入札は対象が20年債、30年債であった。つまりこれも高値警戒が強まっていたところでのひとつの不安要因にされたに過ぎない。

それではなぜその後の債券先物は2度のサーキットブレーカーが発動されて、2円94銭安の143円10銭まで下落し、10年債利回りも0.620%まで急落したのか。ここで注意すべきは、ここにきてほとんど動きをみせていなかった中期ゾーンの動きであった。特に5年債利回りが0.210%まで上昇していたのである。ここを最も注目すべきかと思われる。

4日の日銀の異次元緩和では、超過準備への0.1%の付利は温存された。これは当座預金残高を維持というか増加させるためには必要であるためと思われる。つまりここが中短期ゾーンの利回りのひとつの下限となりうる。このため5年債はその0.1%近くで張り付いていたのだが、それが何故0.2%台にまで利回りが上昇したのか。

ここで考えられるのは、日銀の大胆緩和を期待して、いわゆる噂で買って事実で売るというスタンスで望んでいたと思われる投資家の存在である。さらに10年債や30年債の利回りは2003年6月の水準以下に低下していたことで、その後のVARショックの経験者であれば、ここはいったん売っておきたい水準ともなりうる。

超過準備の付利撤廃がなかったことや、短期債の日銀の購入額は減少することで、ある程度のポジション調整を行わざるを得なくなったところが、期初の売りなど伴って、中期ゾーンあたりまで入ったとの観測もあった。どうやらその売りは、日本相互証券の出来高などを見る限り、10年債あたりまで入っていたとみられる。

そこそこまとまった売りが5年債を主体とした中期ゾーンから、10年債に入り、その結果、7年債に連動する債券先物も急落したものと考えられる。もちろん先物にはヘッジ売りも入った結果、サーキットブレーカーが発動したと思われる。ただし、一部投資家の押し目買いも入ったことで、引けにかけて買い戻され、債券先物は144円02銭で引けており、10年債利回りも0.5%台に低下した。

5日の債券相場の乱高下で注意すべきは、さすがに高値警戒が出たこともあるが、今後は日銀が国債発行額の7割を購入し、それが長期債や超長期債にも波及することで、量的緩和政策時代には短期市場で、基金による国債買入の影響で2年債あたりまでの市場で起きていたような、市場機能の低下が起こりうることである。つまり流動性が低下し、その分、価格の振れが大きくなる懸念があることを、5日の債券相場は示していたように思われる。それとともにここからのさらなる利回り低下にも限度があることを暗示させるような動きであった。

2013.4.8「債券先物のサーキット・ブレーカー制度」

4月5日の債券先物取引では、債券相場の急落により2度のサーキット・ブレーカー制度が発動された。8日にも債券先物中心限月の6月限は5日の清算値144円02銭から1円上昇したことで、サーキット・ブレーカー制度が発動された。

サーキットブレーカー制度は一定の値幅で動いた際にアイロンが過熱を防ぐために自動的に電源を切るように、先物の売買を一時中断する仕組みである。債券先物の中心限月が発動基準に該当した場合に、中心限月だけでなく他の限月も含むすべての限月取引において、取引が一時中断される。この場合の値幅制限の基準値段は、前場からイブニング・セッションまで前営業日の清算値となる。第一次値幅は上下1円、第二次値幅は上下2円となり、最大値幅は上下3円となる

サーキットブレーカーによる一時中断は、14時35分以降(半休日は10時35分以降)には行われない。また、一時中断を実施した限月で、同じ基準に再度値が付いた場合もサーキットブレーカーは実行されない。

東京証券取引所「サーキット・ブレーカー制度」
http://www.tse.or.jp/rules/tdex_plus/circuit-breaker.html


2013.4.7「日銀の異次元の緩和策、量的・質的金融緩和」

結果として、すでに時代遅れの理論ともされたマネタリーベースと物価との関係を試す、壮大な実験が日本で行われようとしている。民間銀行にとり日銀に国債を売った資金は、現金の伸びが予想されていないなか、ある程度日銀の当座預金口座に留め置かないと、マネタリーベースを倍に増やすことなど難しい。日銀の当座預金に巨額資金を積み上げることで、どのような経路を通じて、CPIが前年比2%になるのであろうか。始まってしまった以上は、この壮大な実験がうまく行くことを祈るほかない。失敗したら副総裁の辞任どころでは済まなくなる。


2013.4.13「債券市場の混乱にやっと手を打ってきた日銀だが」

30年国債の入札日というぎりぎりのところで、日銀はVaRショック以来で、規模は震災直後のオペに相当するというシグナルオペを通じて債券相場の下落を抑えにかかった。これはこれで多少なり効果はあるかもしれない。しかし、異次元緩和による影響はこれからが本番となる。日銀は短期市場に対する精鋭達は揃っているかもしれないが、長期・超長期債市場はある意味未体験ゾーンとも言える。もちろん金融政策そのものもこれまでと180度変わってしまって現場はかなり混乱していることも想定される。過去にはシグナルオペにより効果は出たかもしれないが、既存の手段では対応に限界も出てくる。異次元の金融政策には、あらたな次元での債券市場対策も求められる。ただし、ここまで次元が異なってしまうと、日銀の対応にも限界が出てくることも確かである。


2013.4.15「日銀の異次緩和による国債市場への影響」

4月4日に新体制となった黒田日銀が打ち出した大胆で次元の異なる緩和策は、コアCPIの2%という物価目標に対して、2年程度の期間を念頭に置いて、早期に実現するため、マネタリーベース(現金通貨と日銀の当座預金残高)および長期国債・ETFの保有額を2年間で2倍程度とし、長期国債の平均残存年数を現行の2倍以上にするというものである。つまり、その中心となるのが大規模な国債の買入によるマネタリーベースの倍増であり、またイールドカーブ全体にわたって引き下げようというのが中間的な目標(総裁会見より)となっている。

国債のイールドカーブ全体の低下を促すことを目的に、長期国債の保有残高が年間50兆円に相当するペースで増加するよう買入を行う。長期国債の買入対象を40年債を含む全ゾーンとし、買入の平均残存年数を現状の3年弱から国債発行残高の平均並みの7年程度に延長する。この結果、毎月の長期国債のグロスの買入額は7.5兆円規模(これまでは3.8兆円程度、4月の買入予定額は6.2兆円)になる。2013年度の長期国債のカレンダーベースの発行予定額は126.6兆円となっており(年間発行額156.6兆円から短国の30兆円を差し引いたもの)、7.5兆円の12か月で88.7兆円をグロスで日銀が購入するとなれば、毎月の発行額の70%を買い入れることになる。

これについては総裁会見の際に記者から日銀が「池の中の鯨」となる懸念が示されていた。それに対して黒田総裁は次のように答えている。

「国債の価格形成に一番重要なのは、おそらくストックの話だと思います。ストックでは、7割などということには到底なりません。従って、市場に大きな歪みを生じることにはならないと思います。」

これは少し違うのではなかろうか。国債価格の形成には流通している国債の金額が大きく影響している。

「これまでのいわゆる資産買入等の基金では、残存期間 1〜3 年の国債を買ってきましたが、その際も、実は、グロスの買入れ額は発行額の7割に達していました。今回やろうとしていることは、いわば全てのゾーンに拡げてやっていこうということであって、これまで以上に市場金利の形成をそれぞれのゾーンでやり難くすることは意図していません。」

ほとんど現金に近い状態となっていた1〜3年債と長期債、さらには超長期債の流動性にはあきらかに違いがある。現実に日銀が超長期債も購入するのではとの観測が出てからの超長期債の値動きは不安定となり、4日以降も一時20年債、30年債が1%を割り込んでから、急落するなど流動性がかなり意識された動きとなった。いわゆる流動性リスクプレミアムがオンされたような状態となった。

その反対にこれまで日銀が大量に購入していたことで、市場機能が低下して利回りが低位安定していた中短期債については、一部期待のあった超過準備の付利が撤廃されなかった事に加え、今後の日銀の短期債の購入額が不透明となったこともあり、これまで市場機能(価格発見機能)が低下していた中短期債の市場機能がいきなり回復し、2年債や5年債の利回りが大きく上昇した。

大手銀行による5年債を中心とした売りが5日と10日に入ったとみられ、それがさらに相場の変動幅を大きくする結果となった。この売りの理由は推測する他はないが、歴史的水準にまで利回り低下したことや、期初というタイミングなど含めて、中期ゾーン主体に銀行あたりからとみられる利益確定売りが入ったと思われること。さらに短期債含めて、超過準備の付利が温存されたことで、引き下げもしくは撤廃を意識されて利回りが低下していた分が戻されたこと。これまでは基金による買入などは中短期債主体に行われ、市場機能が低下していたところ、買入の主体がもう少し長めの期間のものに移った結果、中短期債の価格発見機能が息を吹き返して上昇した面もあったとみられる。10日の中期債の売りについては、リスク管理手法の影響なども指摘されていた。

この動きに対しては日銀は、11日に対策を講じた。午前中に初の1年物の共通担保資金供給(全店、固定金利)オペ1.5兆円をオファー。午後にも1年物2兆円と、1か月物8000億円の計2.8兆円をオファーし、1日の供給額としてはオファーベースで4.3兆円と、震災後の2011年3月23日の計5兆円の規模に迫った。期間や金額を見てもいかに日銀が危機感を抱いていたかがわかる。

さらに市場参加者からの要望もあった長期国債買入れのオファー日程も公開した。あくまで11日の発表分は翌日の分だけではあったが、これで買入のスケジュールが読めないことによる不安定さはなくなるかもしれないが、事前の価格操作への懸念も残ることになる。

4日にはエコノミストを集め、11日には市場参加者との意見交換会も開催された。11日は初回という意味合いもあってか銀行や生損保、証券会社などの役員または執行役員が対象となるそうである。その後、現場担当者との会合が開催されるであろうことが予想されるが、今後の鍵ともなるのが市場との対話となる。

大胆な金融緩和により債券市場では流動性リスクを意識した動きが出た。これが信用リスクに波及することはなかったものの、将来はそのリスクが顕在化する可能性がないとは言えない。

4月4日の日銀による量的・質的金融緩和の導入に際しては、政府の意向を強く反映したものではあったが、目的は当然ながら財政ファイナンスではなくデフレの脱却であった。ところが、打ち出した政策を見ると、これまでフィスカル・ドミナンス(財政従属)ではないことを示すために設けていた自らの制限を取り除いていた。

すでに形骸化はされてはいたが、日銀保有の国債残高が日銀券の発行額を上回らないという銀行券ルールがそのひとつであった。さらに資金供給のための通常の国債買入(通称、輪番オペ)は発行年限別の直近発行2銘柄を除いていたが、そのルールも撤廃した。基金による国債買入はこれが適用されていなかったが、今後は2年債だけでなく、5年債、10年債などもこの制限なしに買入が可能になる。

4月4日の決定会合後の公表文では、わざわざ「長期国債の買入れは、金融政策目的で行うものであり、財政ファイナンスではない」と明記している。明記することで財政ファイナンスではないことを示したとの見方ができる一方、明記せねばならないぐらい危ない橋を渡っていることの現れとの見方も一部にあった。

今後もし日銀が財政ファイナンスを行っていると捉えられてしまうと、今度は流動性リスクプレミアムだけでなく、財政プレミアムがオンされてしまう懸念があり、日銀はそれに対してもはっきりとした歯止めを見せることも必要となってくると思われる。

今後の国債の動きには債券市場関係者ぱかりでなく、幅広く関心が高まる可能性がある。日銀の異次元緩和による国債市場の混乱を理解するには、国債そのものの理解も必要になる。そのためにはぜひ、本日出版された拙著「アベクロ政策と国債問題 [Kindle版]」をぜひダウンロードしていただけるうれしい。前作「アベノミクスを理解するための日銀入門[Kindle版]」と同様に牛さん熊さんの会話形式で読みやすくなっている。ぜひご一読を。

2013.4.16「日銀は物価見通しを1.5%以上に上方修正だとか」

12日のブルームバーグによると、日銀は26日に公表する「経済・物価情勢の展望(展望リポート)」で、2014年度の消費者物価指数(生鮮食品を除く)前年比上昇率の見通し(中央値)を0.9%から1.5%以上に上方修正することを検討していると伝えられた。

以前にも指摘したが、日銀がコアCPI生鮮食品を除いた消費者物価指数見通しを上方修正することを「検討している」という表現はおかしい。

日銀は、4月および10月の政策委員会・金融政策決定会合において、先行きの経済・物価見通しや上振れ・下振れ要因を詳しく点検し、そのもとでの金融政策運営の考え方を整理した「経済・物価情勢の展望」(展望レポート)を決定し、公表している。1月および7月の金融政策決定会合では、その直前に公表された「経済・物価情勢の展望」(展望レポート)以降の情勢の変化を踏まえたうえで、先行きの経済・物価見通しを評価した「中間評価」を公表している。(日銀のサイトより)

この展望レポートでは、政策委員の大勢見通しが発表される。実質GDP、国内企業物価指数、消費者物価指数(除く生鮮食品)の予想数値が「各委員から出され」、それを集計したものが発表されている。新聞などで日銀の見通しとして発表される数値は、この予想値の中での政策委員見通しの中央値となる。

日銀の政策委員(総裁・副総裁・審議委員)がそれぞれ予想値を出すわけであり、それが「検討」されることは形式上はありえない。政策委員も他の委員がどのような数値を出すのかを事前に知らされるようなことは、ないはずである。

とはいえ、政策委員を含めて、コアCPI見通しを上方修正することを検討せざるを得ない状況にあるのは確かである。

日銀は2%という物価目標を設定したが、この2%とは消費者物価の前年比上昇率となる。もちろんこれはコアCPIとも呼ばれる消費者物価指数(除く生鮮食品)の前年同月比の数値である。

1月に公表された展望レポートの中間評価では、2013年度と2014年度の見通しがすでに示されている。コアCPIについて2013年度は+0.3〜+0.6<+0.4>、2014年度は+2.5〜+3.0<+2.9>となっている。

2014年度の数値については消費税率が2014年4月に8%、2015年10月に10%に引き上げられることを織り込んでいる。消費税率引き上げが現行の課税品目すべてにフル転嫁されることを前提に、物価の押し上げ寄与を機械的に計算した数値、消費者物価では2.0%を加えたものを出している。そこで、各政策委員は消費税率引き上げの直接的な影響を除いたベースの計数を作成しており、それは+0.5〜+1.0<+0.9>となっている。

日銀が決定した物価目標の2%には、当然ながら消費税率引き上げの直接的な影響は加味していない。そうでなければ消費増税だけでそれが簡単にクリアーされてしまうことになる。

4日の予想を超えた大胆な金融緩和、「量的・質的金融緩和」が全員一致で決定されたのをみると、政策委員は10月から上乗せした数値を示す可能性は十分ありうる。さらにメンバーも9人中、3人が入れ替わるため、その分、予想数値に変動も起きよう。その結果、2014年度の消費増税の影響を除いた数値が、どこまで引き上げられるのかが焦点となる。

そこで日銀は、2014年度のコアCPIの見通し(中央値)を1月の0.9%から1.5%以上に上方修正することを検討するそうである。しかし、足下の2月のコアCPIは前年比マイナスの0.3%であった。これをどのようにして上昇させるのか。繰り返しとなってしまうが、その経路がかなり不透明である。

4日に量的・質的金融緩和の導入し、コアCPIの2%という物価目標に対しては、2年程度の期間を念頭に置いて、早期に実現するため、マネタリーベース(現金通貨プラス日銀当座預金)および長期国債・ETFの保有額を2年間で2倍程度とし、長期国債の平均残存年数を現行の2倍以上にする。

それは良いがそれによりどのような経路を通じて、CPIが上昇するのか。国債のイールドカーブの低下を促すのも目的のはずだが、5日以降の国債市場ではいったん低下したイールドカーブは長いところを中心に上昇している。いっときの債券市場の混乱との見方もできるかもしれないが、日銀の国債買入は国債の流動性にマイナスの影響をもたらす懸念もある。国債に日銀が購入し、金融機関はその資金を0.1%のつく当座預金に積み上げるとして、それで実態経済にどのように波及するのか。その実験は2001年から2006年の量的緩和である程度実証済みではなかろうか。

新たにメンバー入りした総裁と副総裁はさておき、4日の異次元緩和は全員一致であり、その流れからは審議委員も予想の修正をしてくることが予想される。これまでの予想から情報修正するとなれば6人の審議委員はどのような説明をするのか。たしかに1月に比べてさらに円安や株高は進み、ムードは変わってきているのは事実ではあるが、それで2年後にコアCPIの2%にするのは可能なのか、消費税の影響を加えれば4%もの上昇となってしまうが、このあたり詳しい説明を聞いてみたい気がする。

2013.4.17「2013年2月の米国債の国別保有残高」

米財務省が発表している米国債国別保有残高(MAJOR FOREIGN HOLDERS OF TREASURY SECURITIES、http://www.ustreas.gov/tic/mfh.txt)によると、2013年2月の日本の米国債(短期債含む)保有残高は1兆971億ドルとなり、1月の1兆1039億ドルからさらに減少した。日本の米国債保有額は2012年10月まで増加し、1兆1319億ドルまで増加していたが、11月以降は減少傾向にある。

これに対してトップの中国は1兆2229億ドルと、1月の1兆2142億円からさらに増加させている。これは1年以上ぶりの高水準となるようである。中国による米国債保有額は昨年頭打ちとなっていたが、昨年10月あたりから再び増加傾向となり、昨年12月以降は1兆2000億ドル台で推移している。この結果、保有額ではトップの中国と2位の日本の差が拡大している。

上位10か国は次の通り(単位、10億ドル)。中国(China, Mainland)1222.9 、日本(Japan)1097.1、カリブ海の金融センター(Carib Bnkng Ctrs)286.7、ブラジル(Brazil)260.0、石油輸出国(Oil Exporters)257.2、台湾(Taiwan)188.2、スイス(Switzerland)185.8、ベルギー(Belgium )184.9、ロシア(Russia)162.1、香港(Hong Kong)143.2。

米国債は米景気の改善も意識され、昨年12月上旬あたりから2月上旬まで下落基調となっていたが、2月は底堅い動きとなり、後半にかけては切り返してきている。米10年債利回りは2月に入り一時2%台に上昇する場面もあったが、その後1.9%割れとなった。

米債3月にかけて再び下落し、10年債利回りは再び2%台をつけた。しかし、キプロスへの懸念の強まりなどを背景に、その後切り返してきた。4月に入ると日銀は大胆な金融緩和策を決定し、日銀は大量の自国の国債を買い入れる。この決定後の日本の債券市場は不安定な動きを見せてきている。またFRBは出口を探る動きを見せ始めてきており、このあたりの動向も米国債投資に多少なり影響を与えてくる可能性はある。

2013.4.18「日銀の当座預金残高が70兆円規模に」

日銀の当座預金残高が17日の速報ベースで69兆7200億円となり、過去最高を記録し約70兆円近くとなった。下記データもどうやら毎日チェックしておく必要がありそうである。

資料、日銀当座預金増減要因と金融調節(毎営業日更新) http://www3.boj.or.jp/market/jp/menu.htm

2001年3月から2006年3月まで続いた前回の量的緩和の際には、この日銀の当座預金残高が目標とされ、最終的には30〜35兆円が目標とされていた。当時のこの目標に比べて、すでに倍の規模になっている。そういえば岩田規久男日銀副総裁は、就任前のどこかのサイトのインタビューにて、「インフレ率を2%にするためには、日銀当座預金を昨年末の約40兆円の倍、70〜80兆円にすべきだ」と述べていた。日銀の大胆な異次元緩和で、すでにその目標値はほぼ達成されているようなのだが。それはさておき、ここにきて当座預金残高が大きく伸びた要因は、4月4日の日銀の量的・質的金融緩和の導入による効果、というよりも、それ以降の債券相場の乱高下が影響していたと思われる。

5日の債券相場の乱高下にはこのコラムでも、また拙著「アベクロ政策と国債問題[Kindle版]」でも触れていたので、そちらを読んでいただきたいが、債券先物市場では5回に及ぶサーキット・ブレーカーの発動があった(5日に売りで2度、8日に買いで一度、10日のイブニング・セッションで売りで一度、12日のイブニング・セッションで売りで一度)。

これに対して日銀が取った手段は、オペによりまず中短期の金利の跳ね上がりを抑えようとするものであった。

中短期ゾーンの利回り上昇に歯止めを掛けるべく、11日の午前中に「初の」1年物の共通担保資金供給(全店、固定金利)オペ1.5兆円をオファーした。これはいわゆる「シグナルオペ」であった。「10時10分に打つのは普通は先日付本店オペなので、つまりは通常のタイムスケジュールを逸脱したオペという意思を示すオペ」(ベテラン市場参加者談)で、これは10年前のVaRショック、つまり国債の急落時にも実施されていた。2003年8月27日にオファーされた「手形オペ9か月」がそれであった。

シグナルオペとは聞き慣れない用語であったかもしれないが、これは日銀がシグナルオペだと言っているわけではなく、短期市場での参加者が、何かしら日銀の意思を感じるオペであると思われるのでシグナルオペと呼んでいるものである。

実は12日金曜日にも日銀は共通担保資金供給(全店、固定金利)を1.5兆円打ってきた。つまりシグナルオペを打ってきたのだが、この際には黒田日銀総裁の講演内容に目が向いて、債券市場では何となくスルーされていた感があった。

シグナルオペは15日、16日も続くなど連日、日銀は積極的な資金供給を行った結果、16日までに合計11兆円以上の供給(日経新聞)を行ったのである。これにより、日銀の当座預金残高が予想以上のピッチで増加したのである。

それで何か物価に影響を与えるような結果が出ている気配はあるのであろうか。17日の日経新聞のやさしい経済学では「期待や予想に働きかける政策の効果をどこまで理論的に示せるかは難しい課題」として、「どんな効果が出るのかは、実行してみないとわからない面が強い」と結んでいる。

いわゆるブタ積みと呼ばれる、現金を見せてやる気を起こさせる作戦については、過去に経験済みながら、その額を極端に大きくさせるのが、今回の異次元緩和である。それでさっそく債券市場には動揺が入るなど、日銀が予想していなかったであろう事態が早速発生している。日銀がリフレ的な政策にこれまで踏み込まなかったのは、それによるトランスミッション・チャンネルがはっきりしなかった事に加え、その副作用についても考慮していたためと思われる。今後はそのあたりが試されることにもなる。とにかく実行してみないとわからない政策なのだから。

2013.4.19「日銀の国債買入方式の修正」

日銀は4日に決定した量的・質的金融緩和策(QQE)における国債の新たな買入について、市場参加者の意見を取り入れ、買入方式を一部修正し18日の夕方に発表された。

量的・質的金融緩和策では、長期国債の保有残高が年間約50兆円に相当するペースで増加するよう買入れを行う。毎月の長期国債のグロスの買入れ額は7兆円強となる(国債には償還があるため、その分も考慮しての買入額)。これにより日銀が保有する長期国債(残存1年以上の国債)は2012年末が89兆円となっていたが、それが2013年末に140兆円、2014年末に190兆円まで引き上げられる。

長期国債の買入対象を40年債を含む全ゾーンとし、買入の平均残存年数を現状の3年弱から国債発行残高の平均並みの7年程度に延長する。この結果、毎月の長期国債のグロスの買入額は7.5兆円規模(これまでは3.8兆円程度、4月の買入予定額は6.2兆円)になる。2013年度の長期国債のカレンダーベースの発行予定額は126.6兆円となっており(年間発行額156.6兆円から短国の30兆円を差し引いたもの)、7.5兆円の12か月で88.7兆円をグロスで日銀が購入するとなれば、毎月の発行額の70%を買い入れることになる。

この具体的な買入方式については、金融政策決定会合の公表文には書かれておらず、決定会合後の夕方に、「当面の長期国債買入れの運営について」が日銀金融市場局から発表された。まさに突貫工事で作成したとの印象である。

4日の夕方にはエコノミストなどが日銀に集められたが、ここでは新政策への説明が中心となり、集まった市場参加者もこれにより具体的に市場にどのような影響があるのか、はかりあぐねていたのではなかろうか。その影響は翌5日に現れ、債券市場は史上まれにみる乱高下となったが、日銀が発行額の7割も買い入れることによる国債市場の機能低下への懸念が大きな要因となった。このあたりについて日銀も2009年のイングランド銀行による量的緩和時の英国債市場の混乱などから、ある程度の想定はあったのかもしれないが、あまり準備が進んでいたわけでもなさそうであった。

11日にはあらためて市場参加者との対話の強化を図ることを目的に、「市場参加者との意見交換会」が開催された。しかし、参加予定者は金融調節取引対象先、機関投資家など市場参加者ではあったものの、初回ということもあってか役員クラスが集められた。5日以降の債券市場の混乱ぶりを見る限り、早めに実務者レベルでの会合をもつべきであったとは思うが、それが開催されたのは17日となった。

4月17日に「市場調節取引実務担当者との意見交換会」が開催されたが、ここでは1回当たり1兆円程度で4月に5回、5月に6回実施する予定となっていた国債買入について、市場への影響が大きいため、出席者からは、金額を小さくして高い頻度にした方が良いとの意見が多かった(ブルームバーグ)。これを踏まえて18日に日銀はあらためて「当面の長期国債買入れの運営について」を発表したのである。

ここでは4月と5月分について発表されたが、このうち5月分を見てみると、修正前は6回で合計7兆4400億円予定の国債買入であったものを、修正後は16回で7兆5000億円程度となった。修正後は原則として2つの残存期間区分を同時にオファーすることになり、つまり16回の半分の8回、オペが入ることになる。

金額についても修正前に比べてそれぞれの年限に幅を持たせ、相場状況等に合わせて裁量の余地を持たせた格好となっている。たとえば残存期間1年超5年以下は修正前の5月合計3兆円が3〜3.5兆円に。残存期間5年超10年以下も修正前の3.4兆円が3〜3.5兆円に。残存期間10年超、つまり超長期債は当初の8000億円が、8000億円〜1兆2000億円に何げに上方修正されていた。

残存期間1年超5年以下については、残存期間の区分を細分化して同時にオファーすることがあるとしており、これは2年債あたりに集中する可能性を配慮したようである。

買入対象銘柄の残存期間が重複する利付国債の入札日(流動性供給入札を含む)には、原則オファーしないことも明記された。これはつまりカレント物の流動性に多少なり配慮するとともに、「財政ファイナンス」と受け止められることを防ぐ狙いがあるそうである(19日の日経新聞)。あまりしっかりとした歯止めのようには思われないが。

日銀は大胆な緩和策を講じ、それによる国債市場の混乱を目の当たりにし、次々と手を打ち、債券市場もやや落ち着きを取り戻してきた。そんなところに、今回の国債買入方式の修正発表も市場は好感した格好となった。しかし、池のなかのクジラはクジラである。債券市場の混乱がこれで完全に払拭されるとも思えない。

2013.4.19「2%の物価上昇の道筋とリスク」

日銀の宮尾龍蔵審議委員は、4月18日の岐阜県での講演において、2%物価安定目標への道筋を示した。それによると、

1.海外経済の正常化は、わが国の輸出・生産の回復基調を後押しし、企業収益を高めます。

2.基調的なリスクオンの継続と米国長期金利の緩やかな上昇により、さらには日本銀行の強力な緩和策により、資産価格や為替レートを含む金融環境は緩和した状態がサポートされます。

3.それらは企業の設備投資や構造変革など前向きな動きを後押しし、潜在成長率の緩やかな上昇をもたらします。

4.持続的な景気回復期待のもと、家計の消費支出も堅調に推移し、需給ギャップの改善を伴いつつ物価は徐々に上昇します。

5.この間、人々のインフレ予想も徐々に高まり、こうしたもとで、2014年度中には消費者物価上昇率は 1%程度を超えて高まっていきます。

最初のポイントは、世界経済の安定化、それによる世界経済の回復基調をまず背景に上げている。二番目の基調的なリスクオンの継続という言葉からも読み取れるが、リーマン・ショックや欧州の信用不安という大きなショックの後退により、世界経済の回復が日本経済にも影響を与えるとしている。

リスクオフからリスクオンの動きに変わって何が起きたかと言えば、円安である。もちろんイタリアやスペインの国債利回りの低下などもあるが、急激な円高の修正が入った。そこにタイミングよく、安倍政権の登場により円安の流れが加速させ、米国の株式市場の上昇などもあり、東京株式市場は大きく上昇した。積極的な金融緩和への期待が、資産バブルのような状況を生み出した結果、資産価格が上昇した。

ここまでは確かに現在の動きの解説となる。問題は4月4日に異次元緩和と呼ばれた緩和を行って、企業の設備投資をどのようにしたら前向きにさせられるのか。人々のインフレ予想も徐々に高まり、こうしたもとで、2014年度中には消費者物価上昇率は 1%程度を超えて高まっていくとしているが、これは異次元緩和がなくても、世界的なリスクの後退での影響で、可能であったのではなかろうか。

そもそも安倍首相や、岩田副総裁のこれまでのコメントを考えれば、特に海外要因等にたよらずとも、マネタリーベースを大胆に引き上げれば物価は上がると言っていなかったか。実際、すでに日銀の当座預金残高は岩田氏が2%の物価上昇に必要と言っていた70〜80兆円に届こうとしている。これですでに2%の物価上昇は可能となる状態にいるということになるのではなかろうか。

少なくとも宮尾委員は世界経済を取り巻く環境の改善、日本の景気回復とともに物価上昇をもたらすことを可能にするとの認識と思われる。日銀の金融政策はこのように流れを押すことは可能かもしれない。しかし、岩田氏の過去の発言からは、日銀の当座預金残高を倍にすれば、物価を上げられるとしている。そのために日銀は発行額の7割もの国債を買い入れる結果となっている。何かおかしくはないだろうか

「先日の金融政策決定会合における議論を通じて、長期国債の大規模な買入れと年限長期化といった施策は、イールドカーブ全体に一段と強力な下押し圧力を掛けるという点で、これまでの私の提案を上回る強力な緩和効果が期待できると判断し、後述するコストやリスクも勘案したうえ、「量的・質的金融緩和」の導入に賛成することとしました。」(宮尾審議委員)

確かに異次元緩和を受けてイールドカーブは一時大きく低下し、10年債利回りは0.315%、20年、30年の利回りは1%割れとなった。しかし、その後イールドカーブはそこから跳ね上がっている。日銀が国債を大量に買い入れることで国債市場の機能に影響を与えかねないとの懸念も出て、国債市場は乱高下した。長期金利は日銀が操作できるものではないことは、これを見ても明らかであろうし、ここからのイールドカーブの低下にどれほどの意味、というか効果があるのか。このあたりも説明していただきたい気がする。

イールドカーブの低下により企業・家計の借入負担を軽減するとの説明はあったが、すでに長期金利は世界最低水準にまで沈んでおり、その恩恵はすでに十分に得ている。何といっても恩恵を受けているのは日本政府であろう。企業は借り入れどころか自己資金が豊富なところも多い。
わはw

銀行や機関投資家などのポートフォリオ調整により、国債投資から銀行信用やリスク資産への投資にシフトする、との期待も述べているが国債とリスク資産での市場規模は桁が違う。日銀がそもそもリスク資産の買入額に比べて、国債買入額を極端に多くしたのはそのマーケット規模が大きな理由であったはずである。

今回の措置は「期待」への働きかけを重視しています、とも宮尾委員は指摘している。「2%の消費者物価上昇率を目指すシナリオが道筋に沿って徐々に実現していくと、それを人々が実感して先行きの見通しに対する信頼を強めます」とあるが、その理論的な背景となっている日銀の当座預金残高と物価の上昇の関連性をどのように見たら良いのか。すでに70兆円に達しようとしている当座預金残高で、どのような働きかけが物価にされているのか。むしろここが聞きたいところである。そこをはっきり説明してくれなければ、その期待なるものはいずれ懸念に変化してくる可能性がある。

「大規模な国債買入がもたらす金利を起点とした全般的な波及ルートと、通貨量のコントロールを新しく導入して、インフレ予想へ働きかけるルートを同時に追求することで、デフレ脱却に向けた強いメッセージを示し、政策効果をより高めようとする枠組みと理解できます」(宮尾審議委員)

大規模な国債買入がもたらす財政ファイナンスへのリスク波及ルートと、通貨量のコントロールを導入しても効果なかった前回の量的緩和時と同様にインフレ予想に働きかけることはかなわず、資産バブルを促進し、それが崩壊してしまうという結果にはなるまいか。
此の段階で こう書く人が居たんだね。
本物の現場の人 って 容赦が無いw だよね。
本物のエコノミスト ってのは 良い意味でも悪い意味でも こういう人なんだろうね。
俺は あるがままに高く評価するけどね。


2013.4.22「3月の債券市場における投資家の動き」

4月22日に日本証券業協会は3月の公社債投資家別売買高を発表した。3月20日に日銀の黒田総裁、岩田副総裁、中曽副総裁が就任した。異次元緩和への期待も強まっていたなかで、投資家は果たして国債を主体に債券市場でどのような運用をしていたのか気になるところである。

短期国債を除くベース、つまり1年以上の残存期間の国債について、都銀は7921億円の買い越しとなっていた。地銀は4137億円の買い越し、信託銀行は3兆2110億円と3兆円を超える大幅買い越しとなっていた。農林系金融機関も3750億円の買い越しに。

生損保は1兆221億円の買い越し、投資信託も5347億円の買い越しとなっていたが、海外投資家は1191億円の売り越しとなっていた。

都銀は買い越しに転じ、信託の買い越し額もさらに大きくなっていたが、年限別の売買にはそれぞれ偏りも見えていた。

それを国債の投資家別売買高でみてみると、都銀は長期債を2兆7924億円も買い越していた半面、中期債を1兆8525億円売り越していた。超長期債は1562億円の売り越し。ちなみに都銀は2月も中期債を売り越して中期債を買い越し、ただし超長期は買い越していた。都銀による長期債の2兆7924億円の買い越しは、2004年4月以降のデータのなかでは最高の買い越し額となっていた。

信託銀行は前年限で買い越しとなっており、超長期債を1兆1181億円、長期債を7683億円、中期債1兆1663億円のそれぞれ買い越し。円安株高の進行に伴うパッシブ系の年金運用者などからのリバランスの買いが、中期ゾーンを含めて引き続き入っていたものと思われる。

農林系金融機関は超長期を2557億円買い越し。生保も超長期債を9265億円の買い越しに。

外国人は長期債を1兆4540億円売り越していた半面、中期債を1兆1724億円買い越していた。2月も金額はこれよりは少ないが、やはり外人は長期債売り、中期債買いをしていた。

短期債の売買高をみると、外国人がこの月も13兆8073億円の買い越しとなっており、外投資家による短期債の買い越しは継続していた。

3月の債券相場を振り返ってみると、日銀総裁候補の黒田東彦氏は4日の衆議院運営委員会の所信聴取で、デフレ脱却へ向け可能なことは何でもやると表明し、長期の国債も購入対象として検討すべきだと述べた。4日の債券先物はこの発言を受けて上昇し、145円32銭の高値引けとなり、12月11日につけた過去最高値を更新した。5日も債券に買いが入り10年債利回りは0.6%割れに。8日の30年国債入札は順調な結果となったが、一部の投資家が直接大量に応札した可能性があり、このため債券相場は一時大きく買われた。

12日の5年国債の入札は無難な結果となったが、20年国債の入札は低調な結果に。しかし、超長期債の売りも限定的であった。むしろ中期ゾーンの買いがいったん止まり、超長期債や長期債には投資家の買いが入った。このあたりで都銀が中期債から長期債に入れ替えていた可能性がある。

ユーロ圏財務相会合ではキプロスへの財政支援と引き換えに全ての銀行預金への課税を決めたことを受け、キプロス政府は16日に全銀行口座からの引き出しを制限する預金封鎖を開始した。この異例の措置に市場は動揺した。15日の米10年債利回りは2%割れとなっていたこともあり、18日の現物10年債利回りは再び0.6%割れに。20日に日銀の黒田東彦総裁、岩田規久男副総裁、中曽宏副総裁が就任したが、大胆な金融緩和の期待も強く、特に長期、超長期債に買いが入った。21日に債券先物は145円75銭まで上昇し、連日で債券先物の最高値を更新した。

このように3月の債券相場は、超長期債には信託銀行や生保、長期債には都銀や信託銀行からの買いが入っていた。中期債は信託銀行などからの買いは入るものの、都銀による売りにより上値が抑えられた格好となっていた。

2013.4.24「イタリアの2年債利回りが過去最低になったことの意味」

4月22日の欧州市場では、イタリアの2年国債の利回りが一時1.208%まで下げ、ブルームバーグによるとデータ集計を開始した1993年以来の最低を記録したそうである。23日には1.2%を割り込みさらに記録を更新し、10年債利回りは2010年11月以来の4%割れとなった。

22日の日本時間の夕方に、イタリアの2年債利回りが過去最低になったとの記事が出ていたが、これを見て一瞬目を疑った。ドイツやベルギー、オーストリアとかの2年債利回りではなく、イタリアの2年債利回りが過去最低を記録したのである。これは欧州のリスク後退を示す、大きな象徴的な出来事ではあるまいか。

ブルームバーグによるとイタリアの15年債利回りも4.23%と2006年12月以来の低水準となったそうである。2006年末と言えば、ギリシャ・ショックどころか、リーマン・ショック以前の水準である。

2010年1月に欧州委員会がギリシャの財政に関して統計上の不備を指摘し、ギリシャの財政状況の悪化が表面化した。ギリシャの格下げ等も伴いギリシャの国債が急落したのが欧州の信用不安の発端である。

それがポルトガルやスペインを経て、イタリアに波及した。ユーロというシステムの維持が可能かどうか試されることになった。その意味ではイタリアの金利、つまりイタリア国債の価格の動きが、ユーロの安定度を測るひとつの目安ともなっていたはずである。

そのイタリア国債の利回りが低下し、2年債に至っては過去最低水準まで低下したという。これはつまりユーロ圏というシステムへの不安とともに、信用不安もかなり後退してきたことの現れと言えるのではなかろうか。

日本ではアベノミクスの登場と、黒田日銀による異次元緩和に浮かれ、このあたりの状況についてあまり関心はなさそうだが、そもそも昨年末あたりからの急激な円安と株高の根底には、欧州の信用リスクを中心とした世界的なリスクの後退がある。その流れをアベノミクスへの期待が加速させ、ヘッジ・ファンドなどが仕掛けやすい環境を形成したとみられる

株価の上昇については、日本株ばかりでなく米国株式市場でもダウ平均が過去最高値を更新してきた。これには日米欧の中銀による積極的な資金供給策による影響ばかりでなく、世界経済の回復期待があろう。それも欧州のリスクの後退が背景にあると考えられる。

今回の円安・株高の要因としてアベノミクスがどの程度関与しているのかを具体的に計ることは難しい。ただし、アベノミクスだけで今回の円安・株高が生じたとみて、その効果に絶対の信用を置くこともどうかと思う。このあたりは冷静な分析も求められる。

ちなみにイタリアに限らず、スペインやポルトガルの国債が今回買われた背景には、ECBの利下げ観測に加え、日本の生保や年金による買いが今後入るとの期待感もあろう。しかし、少なくとも期待感が不安感を打ち負かしている環境そのものの要因を理解することも重要かと思われる。

2013.4.25「矛盾だらけの異次元緩和」

日銀の当座預金残高が17日に69兆7200億円となり、過去最高を記録し約70兆円近くとなった。岩田規久男日銀副総裁は、就任前のインタビューにて、「インフレ率を2%にするためには、日銀当座預金を昨年末の約40兆円の倍、70〜80兆円にすべきだ」と述べていた。

4月4日の金融政策決定会合で決めた量的・質的金融緩和策では、マネタリーベースが、年間60〜70兆円に相当するベースで増加するよう金融市場調節を行うとしていた。年間60〜70兆円というのはマネタリーベースの増加ベースとなり、2012年末のマネタリーベースの実績138兆円規模が、2013年末が200兆円、2014年度が270兆円となる。

岩田副総裁の発言が正しいとすれば、このピッチでのマネタリーベースの増加(増加分の殆どは日銀当座預金)では、インフレ率は2%どころではなく跳ね上がりかねないのではなかろうか。

それ以前に既に日銀の当座預金残高が、昨年末の倍近いところまできているが、それで何かしら物価上昇に波及しうる兆候が出ているのであろうか。タイムラグはあるにせよ。

アベノミクスの登場以降の円安・株高がその大きな兆候だという人もいるかもしれない。これには「期待」への効果は確かにあったかと思うが、それは果たしてマネタリーベースの増加が影響していたものなのか。そもそもどれだけの人が日銀の当座預金残高に関心を持っていようか

日銀はコアCPI生鮮食品を除いた消費者物価指数の2%という物価目標に対して、2年程度の期間を念頭に置いて、早期に実現するとしている。26日に発表される展望レポートでは、2年後に2%の物価目標が達成しうるという予測が示されると予想される。

2年で2%の物価上昇は達成できるのかとの質問に対して、宮尾審議委員は会見で次の発言を繰り返していた。

「今回、私どもは2年程度の期間を念頭において、2%の物価安定の目標をできるだけ早期に実現するために今回の「量的・質的金融緩和」というパッケージを決定し、実行に移したということです。」

まったくこれは答えになっていない。
会見前の講演ではその道筋を示してはいたが、そのポイントには、世界経済の安定化、それによる世界経済の回復基調を背景にあげている。リーマン・ショックや欧州の信用不安という大きなショックの後退により、世界経済の回復が日本経済にも影響を与えるとしている。つまりは異次元緩和があっての2%の物価上昇という前提になっていない。

宮尾審議委員を含めて、六名の審議委員が26日の展望レポートでコアCPIの予想を大きく引き上げたならば、その理由の説明が求められる。宮尾委員の会見では、記者から2%の目標は2年程度で達成できるという事に関し、「宮尾審議委員が何故ここでご自身の考えを述べないのか、よく分かりません。」ともコメントしている。この点についての説明責任も審議委員には求められるはずである。

さらにこれまでの日銀の考え方を踏まえた上で、今回の異次元緩和がどのように物価に波及するのかの経路について、日銀プロパーであり、これまでの日銀の政策にも携わってきた中曽副総裁の意見も聞きたいところである。

債券市場にも異次元緩和の影響が及んでいるが、すでに生保や年金、地方の金融機関などが国債投資を減少させるとの見方も強まっている。それでなくても国債発行額のうちこれまでの4割弱から7割強を日銀が買い入れることで、債券市場の実質的な規模が縮小し、参加者も減少するとなれば、その機能低下による影響も考えておく必要がある。

高橋是清は日銀による国債引受を行ってはいたが、それは当時の国債の流通市場が整備されていなかったこともあり、日銀はいったん引き受けた国債を銀行に売却していた。今回、日銀はあくまで買い入れるだけが目的となっている。国債の市場機能を低下させて、その結果、イールドカーブは全体に低下するどころか、いびつな動きになりかねない。それでどのように実態経済に働きかけられるのか、このあたりの説明もほしいところである。

2013.4.26「債券市場の動揺の理由」

リフレ的な政策を全面に打ち出した安倍政権によるアベノミクスは、その一本目の矢の仕上げとして日銀に大胆な金融緩和を要求し、それを自ら選んだ黒田日銀総裁が実行に移した。

これにより、人々の期待が高まったことは事実であろう。円安・株高もあり、日本はデフレから脱却して明るい展望が開けるとの認識も拡がっている。日銀や政府の景気判断も上方修正され、景気の気に働きかけていると。リスクを犯しても大胆な政策を打ち出せば状況は打破できる、との期待が強まっているが、果たしてそのリスクとは何なのか。

ここはもう少し冷静に物事を見ておく必要もある。今回の政策で、果たして誰か痛手を被ったであろうか。等価交換と言う言葉がある。何かしら大きな作用を行えば、何かしら副作用が生じる。ところが、今回のリフレ政策は一見、どこも痛手を被ったようなところはない、ように見える。だからこそアベノミクスが受け入れられ、本屋にはその関連書籍のコーナーも出来ている。Win-Winで皆ハッピーというのはどこかおかしくはなかろうか。

4月4日の異次元緩和後の国債の動きが気になる方も、債券関係者以外にもいるかもしれない。それとも円安傾向が続き、株価が上がっている状況が続く限り、アベノミクスは効果が出ており、多少の債券市場の動揺など意識する必要はない、と考えている方の方が多いのか。とにかく債券市場の動揺は何かしらの兆候を示していた可能性がある。もちろんそれは発行額の7割も中央銀行が自国国債を買い入れるという、大胆な政策が国債の需給面に影響を与えたためであろうが、投資家が引いたのは、果たして流動性の問題だけであろうか。

今回の日銀の異次元緩和の目的は、2%の物価上昇としている、そのための政策の中心にあるのは、より長い期間の国債の大量購入である。これにより国債のイールドカーブ全体を押しつぶし、さらに国債を買い入れることによる大量の資金供給により日銀の当座預金残高を一気に引き上げようとするものである。ただし、それで本当に物価が動くという保証があるわけではない。現実に当座預金残高は昨年末の倍近くに膨らんでいるが、物価に影響が及んでいる気配はない。もちろん円安の影響により今後は物価が多少なり上昇してくることは予想されるが、当座預金残高が直接物価に影響したわけではない。欧州リスクからの急激な円高の反動による円安でもたらされたものである。

今後、物価が思うように上昇しなかったならば、期待感が先行している市場からは更に大胆な政策が要求されよう。その結果、さらなる国債買入増額となれば、それは国債市場の流動性をさらに低下させかねず、市場機能が失われるリスクが生じる。それとともに財政ファイナンスとの認識が強まる可能性がある。もちろんそれは政府の意向次第ではあるが、もし消費増税が先送りされるなどすれば、その認識を強めさせかねない。

高橋是清による日銀引受は、たしかに途中まではうまくいった。デフレからも脱却したが、その出口政策に失敗し、二・二六事件で高橋是清は暗殺され、国債の日銀引受という打ち出の小槌はさらに振られることになり、戦後のハイパーインフレを生む。それを反省して財政法では日銀による国債の直接引き受けは禁じられることになった

今回の異次元緩和は日銀による国債の直接引き受けではないとしているが、日銀券ルールは撤廃し、より長い期間の国債を大量に買い入れ、直近発行銘柄の買入も可能にするなど、自ら財政ファイナンスではないとするために置いておいた標識を撤廃した。超長期債の動揺は、このあたりの漠然としたリスクも意識してのものとも言えるのではなかろうか。
この人は出来る限りに政治の話はしない。 だから消費税増税の話はしない。
そういう意味で こう書いて頂けている のは大変にありがたいです。

そして こう書く

2013.4.26「日銀の政権交代」

2013年3月20日、日銀では政権交代が行われた。もちろんこれは選挙によるものではなかったが、いわゆる日銀理論をベースとした政策から金融政策のレジーム・チェンジ(体制転換)が行われ、いわゆるリフレ政策をベースにした政策に転じることになった。

長きに渡る政権がひっくり返されたといえば、2009年8月30日の第45回衆議院議員総選挙における民主党の政権奪取が連想される。民主党は単独で総議席の3分の2に迫る308議席獲得と圧勝し、鳩山内閣は当初70%を超す高い支持率を得てスタートした。

参考までに安倍内閣の支持率は、読売新聞社によると4月12〜14日調査分で74%、前回3月15〜17日の72%をこえるなど高い支持率を示していた。アベノミクス効果による円安・株高等がかなり意識されていると思われる。安倍内閣の支持率は昨年12月の内閣発足直後から毎月上がっており、4回連続の上昇は、毎月調査を始めた1978年以降で初めてだそうである。安倍内閣が日銀との連携を強化して、成長を重視した経済政策を進めていることを評価する人67%に上り、日銀が決めた大規模な金融緩和策を「評価する」は54%と「評価しない」の30%より多かったそうである(読売新聞)。

この調査結果を見ると、どうやに日銀の政権交代による期待については、評価しているむきは多いものの、54%という数字は「いや、ちょっと待てよ」とみている人もそれなりに多いことを示しているように思われる。

アベノミクスは三本の矢というが、一本目の次元の違う大胆な金融緩和という期待に負うところが大きい。リフレ政策を全面に打ち出して、円安・株高を加速させ、それが支持率アップにも繋がっているのは確かであろう。今後の安倍政権の支持率の行方は、実は日銀の政策とその効果にかかっているという見方もできよう。

そうであれば、日銀の政権交代によるレジーム・チェンジの効果を見定める必要がある。それには今回の自民党が政権を取り返した事例よりも、2009年の民主党が政権を握った際のレジーム・チェンジの際の状況が参考になるのではなかろうか。

黒田日銀のマニフェストに掲げた大きな目標は2%の物価目標を2年で達成するというものである。しかし、これは日銀理論をベースとした政策から見ると、非常に達成が難しいものとなる。そのために打ち出した政策はこれまでの路線上にあるものながら、量を極端に大きく見せるものとなった。これでどのようにして目標達成を可能とするのか、その具体的な道筋は示されていない。さらに債券市場を混乱させるなどの副作用も出ており、日銀はまずそのための火消しに走ることになった。

民主党が政権を握った際には、官僚との関係がかなりぎくしゃくしたと言われる。同様の事態が今回の日銀内部で発生する可能性もある。それでもアベノミクスへの期待感が維持している間は良いかもしれないが、物価目標達成に向けて今後はいろいろと問題が表面化することも想定される。今後CPIは回復すると予想されているが、足下CPIは3月の全国で前年比マイナス0.5%にいる。アベノミクス登場が昨年11月だとすれば、すでに半年経過しているが、期待感が物価に働きかけている様子は見えていないのが実情である。

そもそも物価さえ上げれば何とかなる的な発想に問題はないのか。物価上昇への道筋含めて、日銀にはその説明が求められる。そこで適切な答えが出なければ、期待が失望に変わる可能性もある。円安・株高は海外要因に助けられているというか、海外要因が根底にある。世界的なリスクの後退とそれによる景気回復への期待である。そこに日米欧の中央銀行の超緩和策が後押ししている。

海外要因による円安や世界的に株高にブレーキが掛かると、アベノミクスへの成果が問われる。その際に注目されるのは、日銀の金融政策となろう。今回の安倍政権への政権交代により、ルビコン川を渡り、パンドラの箱を開けてしまった日銀が、今後はどのような政策をとるのか。果たしてレジーム・チェンジした金融政策への支持はどこまで続くのか。非常に興味深い。

2013.4.30「異次元緩和後の日本の投資家の動き」

4月25日に財務省は4月14日〜20日の対外及び対内証券売買契約等の状況を発表した。これによると、この期間の対外債券(中長期債)投資は8626億円の資本流入超となっていた。つまり日本の投資家は外債を買っていたのではなく、差し引き8626億円売っていたということになる。その前の週も3328億円売り越しとなっており、これで6週連続の売り超しとなっていた。

4日の異次元緩和により、日銀は国債のイールドカーブ全体の低下を促すことを目的に、長期国債の保有残高が年間50兆円に相当するペースで増加するよう買入を行う。長期国債の買入対象を40年債を含む全ゾーンとし、買入の平均残存年数を現状の3年弱から国債発行残高の平均並みの7年程度に延長する。この結果、毎月の長期国債のグロスの買入額は7.5兆円規模(これまでは3.8兆円程度、4月の買入予定額は6.2兆円)になる。2013年度の長期国債のカレンダーベースの発行予定額は126.6兆円となっており(年間発行額156.6兆円から短国の30兆円を差し引いたもの)、7.5兆円の12か月で88.7兆円をグロスで日銀が購入するとなれば、毎月の発行額の70%を買い入れることになる。

これまで超長期債の主たる買い手となっていた生保・年金、さらには一部海外投資家等は利回りの低下もさることながら、流通市場の縮小もあり、今後は日本国債への投資を縮小することが予想され、欧米の海外市場では思惑的な買いも入っていた。しかし、現実には日本の投資家は外債を買うどころか、むしろ欧米の債券の利回り低下で利食い売りを出していたと思われる。

いわゆる機関投資家は、そう簡単に年度の運用計画を修正することはできない。4月4日の異次元緩和を受けて、すぐに外債投資の比重を高めると言った動きはしてこない。ただし、債券市場に動揺が見えるなどしたことで、今年度の運用計画そのものを白紙にし、あらためて計画の練り直しを行ったところも多かったようである。

すでにいくつかの生保の運用の見直しが発表されているが、そのほとんどは確かに国内債を抑制し、外債を積み増すというものではあるが、それほど大きな修正ではなかった。これは為替リスク等もあるが、そもそも欧米の主要な国債利回りがかなり低下しているという事情も影響していると思われる。

ちなみの14日から20日の対内債券(中長期債)投資は1993億円の流出超に、前の週も1763億円の流出超となっていた。短期債も流出増となり、異次元緩和を受けていったん海外投資家は円債を売ってきているようである。こちらは、4月4日の異次元緩和以降の日本の債券市場の荒れ具合を見て、ポジションを減らしてきたと思われる。

いずれにしても、それほど大規模な資金の移動が生じているわけではないものの、今後は日本の国債の流通市場が日銀の介入により、縮小することが予想され、投資家もそれに備えた動きをせざるを得ない。国債市場の機能低下も予想され、それが異次元緩和の導入以降の超長期債市場に現れている。この動揺は時間とともに収まるかもしれないが、今後は以前ほど国債市場が安定するとは考えづらい。不安定な市場となれば、それだけ市場参加者も神経質になりかねない。つまり長期金利が何かのきっかけで跳ね上がりかねないという環境になりつつある。このあたり、政治家や日銀関係者は、言動に細心の注意を払う必要もあろう。

2013.5.1「アベノミクスは資産バブルが目的なのか」

「マネタリーベースの伸び率は大幅に上昇しているが、マネーサプライの伸び率に大きな変化までは窺われていない。経済活動の活発化に結びつく形でマネーサプライが増加するためには、財政政策の運営と効果に依存している面もあるが、少なくとも、金融仲介機能の回復などによって金融政策の効果波及経路が確保され、民間部門の資金調達行動が活発化することが前提となる。」

これは2002年12月に発表された日銀のレポート「金融政策運営に果たすマネーサプライの役割」のなかの一文である。作成は日本銀行企画室となっている。これがリフレ派のいうところの日銀理論とされるものなのかもしれないが、このレポートにもあるように「1980年代後半のバブルの生成期にはマネーサプライと経済活動との関係が一旦みえにくくなった」とある。

ここで面白い資料がある。4月27日に新聞各紙に載せられた、静岡県立大学教授・内閣官房参与である本田悦郎氏が書かれた本「アベノミクスの真実」広告をご覧になった方も多いのではなかろうか。

この本は安倍総理の公認本ともなっている。本田悦郎氏は財務省出身だが、安倍氏のアドバイザー的な存在であり、アベノミクスの三本の矢のうちの大胆な金融政策、つまりリフレ的な政策を推し進める上で、かなり影響力を持った人物とみられ、内閣官房参与の肩書きがそれを示している。

問題となるのは、その広告にあったデフレ脱却のメカニズムという図である。これは日銀の異次元緩和のトランスミッション・メカニズム(波及経路)をなるべくわかりやすく説明したものと思われる。ここで日銀の金融政策の働きかけが、いきなり投資家にきている。「緩やかなインフレ期待形成」により、実質金利が低下し、円安・株価上昇・不動産価格の上昇を促すとしている。そこから企業部門に働きかけていくとしている。

これはアベノミクスの効果を図で示すために、あえて円安・株高を強調したかったのかもしれないが、金融緩和で株高や不動産価格の上昇を招くというのは、前回のバブルを招いたときの政策と同様である。これについては日銀の上記レポートにもあったように、1980年代後半のバブルの生成期にはマネーサプライと経済活動との関係が一旦みえにくくなったことをどのように説明するのであろうか。

もうひとつ面白い資料がある。19日に発表された「アベノミクスとは何か 〜日本経済再生に向けた日本の取組みと将来の課題〜」という題の麻生財務相の講演内容である。これは非常のわかりやすく説明がなされている。

「安倍晋三首相は、大学時代にアーチェリーの選手だったそうです。このため、アベノミクスを、三本の矢の組み合わせと言うのは、彼にぴったりなわけです。私はアーチェリーの選手ではありません。私はクレー射撃の選手で、1976年のモントリオールオリンピックで日本代表を務めました。ですので、私は矢ではなく、バズーカ砲だと呼んでいます。」

なにげにオリンピック代表となったことをアピールしているように思われるが、どうやらバズーカ砲の名付け親は麻生財務相であったようである。

それはさておき、「あなたがデフレーションを経験したことが無いからです。それがどんなものか、少しお話しましょう。」として日本のデフレを説明している。ちなみにこれは米ワシントンDCでの講演である。

「全ては1990年代初頭に資産バブルが崩壊したときにはじまりました。」

「結果として、多くの銀行や企業の資本が毀損しました。銀行は自分たちの不良債権の圧縮にしか関心が無く、企業は負債の返済しか考えていませんでした。」

「日本企業は、将来の成長につながる新たなアイディアや製品に投資するよりも、賃金カットでコストをぎりぎりまで引き下げることを選びました。」

「お金の価値は、モノに対して相対的に徐々に上がりました。政府以外のほとんど誰もが投資したがらぬということで、成長は減速しました。こうして根深い悪循環となり、デフレーションはしつこいものとなりました。」

外人向けということで、非常にわかりやすくバブル崩壊によるデフレ生成の様子をまとめている。この説明にはまったく違和感がない。違和感があるとすれば、まず本田教授が、異次元緩和のトランスミッション・メカニズムでいわゆる資産バブルが目的であろうかとの説明である。それは結果として再度バブル崩壊のリスクを伴うのではなかろうか。

そして麻生財務相の説明が正しいとすれば、バブル崩壊とその後のデフレの要因は日銀の緩和不足にあるものではなく、銀行が融資をしぶり、企業もコスト削減を選択し、投資を抑制したことにある。そうであるのならば、まず必要なのは企業が将来の成長につながる新たなアイディアや製品に投資する環境作りであろう(つまりは二本目・三本目の矢か)。そのためには金融緩和よるフォローも重要であり、マインド変化も必要ながらも、タカハシノミクス(高橋是清の政策)のような大きなリスクを犯して金融政策に極度に依存する政策で良いのかは甚だ疑問である。しかもその当初の目的が資産バブルの生成であるのであれば、それがマネーサプライを通じて物価に波及するというトランスミッション・メカニズムにも疑問が残る。それで2%の物価目標が本当に達成可能なのであろうか。


2013.5.2「日銀の展望レポートより」

4月26日に日銀は経済・物価情勢の展望(展望レポート)を発表した。展望レポートとは「先行きの経済・物価見通しや上振れ・下振れ要因を詳しく点検し、そのもとでの金融政策運営の考え方を整理した」(日銀)ものであり、4月および10月の政策委員会・金融政策決定会合において決定し公表される。

1月および7月の金融政策決定会合では、その直前に公表された展望レポート以降の情勢の変化を踏まえたうえで、先行きの経済・物価見通しを評価した「中間評価(中間レビュー)」を公表している。このため4月の展望レポートの予測数値は1月のものと比較されることになる。

今回の展望レポートでは、分量そのものが減少するなどの変更があったが、予測そのものに大きな変更がふたつあった。

これまでの政策委員の予測値は、「実質GDP」、「国内企業物価指数」、「消費者物価指数(除く生鮮食品)」の3つが示されていたが、今回からは「国内企業物価指数」が除かれ、「実質GDP」、「消費者物価指数(除く生鮮食品)」のふたつになった。国内企業物価指数は歴史ある経済指標であり、総務省が出しているCPIとは異なり、日銀が出しているものではあるが、注目度はCPIに比べて低下しており、ふたつに絞ることにしたものと思われる。

もうひとつの変更点は、見通し期間を1年間延長したことである。このため今回の見通し期間は2015年度までとしている。これは2年後の物価目標2%に対する日銀の予測をあらためて示すためと思われる。

見通しには2012〜2015年度の政策委員の大勢見通しが使われているが、これは全員の見通しのなかで、最大値と最小値を1個ずつ除いて示したものである。さらにそのなかで政策委員見通しの中央値が注目されている。

2013年度の消費者物価指数(除く生鮮食品)、つまりコアCPIの委員の大勢予測中央値は1月時点の見通しの+0.4%から+0.7%に引き上げられた。2014年度については消費税引き上げの影響を除いたケースでは、1月の見通しの+0.9%が+1.4%になった。そして2015年度については+1.9%となっていた。

この引き上げ理由はいまさら説明するまでもなく、異次元緩和の効果があるとして引き上げたものであろう。ちなみにこの数値は年度の平均を示しており、2年後のコアCPI(消費税の影響除く)はプラス2%をほぼ達成しているとの見通しといえる。

2015年度のコアCPIの大勢見通しの最低値は+0.9%、そして全員の見通しの最低値は+0.8%となっていた。つまり最低2人の委員が1%には届かないとの予測をしていたことになる。これについて、2015年度までの見通し期間の後半にかけて、2%に達する可能性が高い、との表現に佐藤委員、木内委員が反対したそうであり、1%以下の予測を出したのも両委員であったと思われる。

今回の展望レポートには下記のような表現もあった。

「中長期的な予想物価上昇率については、市場参加者やエコノミスト、家計を対象とした調査など、足もと上昇を示唆する指標がみられる。債券市場関係者に対するサーベイ調査をみると、昨年末以降、中長期の予想物価上昇率は高まりつつあるほか、固定利付国債と物価連動国債の利回り較差から求められるブレーク・イーブン・インフレ率をみても、足もとはっきりと上昇している」

たしかに中長期的な物価予測は、ここのきての円安・株高とその背景となっている欧州リスクの後退と世界経済の回復期待も相まって、やや上方修正されたかもしれない。しかし、エコノミストの多くは2年後の2%の物価上昇には懐疑的であり、それをエコノミストでもある佐藤委員、木内委員も示したということになる。

ブレーク・イーブン・インフレ率については、レポートの脚注にもあった点に注意すべきである。

「わが国の物価連動国債の市場規模はピーク時の8兆円強から最近は3兆円台半ばにまで縮小しており、国債発行残高全体に占める比率も1%を下回るなど、市場の流動性は顕著に低下している。このため、ブレーク・イーブン・インフレ率の変動には、市場参加者の予想物価上昇率の変化に加え、物価連動国債の流動性プレミアムの変動も無視できない影響を及ぼしている可能性が高く、解釈にあたっては十分留意する必要がある。」

日本の物価連動国債は現在発行が停止されている。流通しているものは非常に限られたものになっており、そこから導き出されるブレーク・イーブン・インフレ率はあくまで参考程度にしかならない点にも注意すべきである。

そして残念ながら債券市場を見る限りにおいて、中長期の予想物価上昇率は高まってなどいない。もし物価が本当に上がると市場参加者が本気で考えているのであれば、長い期間の国債は買われるのではなく、もっと売られてしかるべきである。

2013.5.7「債券市場は落ち着きを取り戻したのか」

債券市場は超長期債主体に流動性低下への懸念が強まっての利回り上昇、中短期債はアンカーとして盤石の基盤が崩れての利回り上昇等が起きてはいたが、入札そのものはまずまず無難にこなしたように思われる。

流動性が後退すると業者もポジションを持ちにくくなるが、それぞれの入札の際の応札倍率はそれなりにしっかりしていた。これはプライマリー・ディーラーを中心にリスクはあるものの応札に応じたところが多かったためと思われる。ただし、その顧客への販売はそれなりに苦労していたとの観測もあった。

投資家もオファーとビッドの大きさに戸惑いながら、さらに異次元緩和で年度の運用計画そのものの変更をせまられて動くに動けない状況にいたためであろう。さらに板が薄いどころか、一時なくなるような状況下、なかなか手が出しにくい面もあったことも事実かと思われる。ただし、国債の入札状況と、その後の債券相場を見る限り、それなりに買い手もある程度は存在していたと思われる。

5月1日の10年国債の入札が注目されたが。これを無難にこなしたことにより、とりあえず債券市場は落ち着きを取り戻したかに見える。ただし、いったん動きが鈍くなった相場が続くと膠着相場が続くように、いったん大きな波乱が起きると、潜在的に動きやすい状況が続く。つまり何かのきっかけで相場が大きく動きだす。そのようなリスクをまだ秘めている。

国債市場を腕力で動かそうとした日銀が、市場にしっぺ返しを食らった格好となったが、それでも入札は淡々とこなしている。しかし、それで市場参加者の不安が後退したわけではないことも確かである。

2013.5.8「超長期国債先物取引が2014年4月に再開か」

4月4日の日銀の異次元緩和により、国債発行額の7割強も買い入れる日銀という池の中へのクジラの進出で、国債の流動性への懸念が特に超長期債市場で強まったことで、一時超長期債のオファーとビッドが拡大、というよりビッドがなくなるような状態に陥り、債券市場の乱高下の大きな要因ともなっていた。超長期国債先物で、ある程度のヘッジが可能となれば、このような状況も緩和される可能性がある。

2013.5.9「アベノミクスと高橋是清」

「アベノミクスとは何か 〜日本経済再生に向けた日本の取組みと将来の課題〜」という題の麻生太郎財務相の米ワシントンDC講演には下記のような発言も記されている。

「確かに、日本は長きにわたるデフレーションを経験した唯一の国ですが、それはあくまで戦後の歴史について言った場合です。戦前まで振り返ってみて言わねばならんことは、日本は、デフレーションからの脱却をやってのけた数少ない国のひとつであったという事実です。」

「ジョン・メイナード・ケインズが『一般理論』を出版したのは 1936年です。しかしそれ以前の1930年代初頭に、日本でケインズ経済学的な政策を行った人物がいます。それが高橋是清です。彼は 20世紀初頭に財務大臣を 6度、総理を1度務めました。」

「彼は、まさに、いま私たちがしていることをやって日本を救いました。大胆な金融緩和と財政出動がデフレーションのスパイラルを止めました。今日の私たちのように、彼も大胆かつ迅速に行いました。まさに、「衝撃と畏怖(shock and awe)」の政策でありました。ルーズベルトは、高橋からインスピレーションを受けたと言ったと言われますが、それほどのものであったのです。我々の先輩にデフレーションからの脱却に成功した人物がいると思うと、勇気づけられます。我々も、彼の後に続きたい、そう思います。」(財務省「アベノミクスとは何か 〜日本経済再生に向けた日本の取組みと将来の課題〜」より)

1929年7月に金輸出解禁の方針を掲げた浜口内閣が成立し、緊縮財政への転換と国民への倹約の呼びかけを行い、1930年1月に旧平価により金輸出を解禁した。しかし、旧平価に対し円がとくに弱かった時期に金本位制への復帰が発表されたため、物価と輸出が急速に低下し、大量の金が輸出解禁とともに海外に流出し、アメリカから始まった世界恐慌の影響も受けて国際収支も悪化し、日本の景気は急速に悪化することになり、デフレーションに陥った。

1931年9月にイギリスが金本位制を離脱、同年12月の犬養内閣の成立にともなって高橋是清が蔵相に就任すると、直ちに金輸出が再禁止され、1932年1月には「銀行券の金貨兌換停止に関する勅令」の公布施行により、金兌換が停止され、日本は金本位体制から離脱し、日本銀行券の兌換も原則として停止された。

金本位制を離脱したことにより、金の保有量に制約されずに積極的な財政政策を行いやすくなり、大量の国債発行による公共事業や軍事への投資が可能になる。ただし、当時の国債市場は未整備であり、「当時の国債発行は、民間金融機関が引受けシンジケート団を組成して引き受けるか、郵便貯金等を原資とする預金部が引き受けるかたちが中心であり、多額の国債を速やか、かつ円滑に消化する方法はありませんでした」(2011年5月の日銀白川総裁の講演より)。

このため大量の国債発行を円滑に進めるために高橋是清が取った手段が、日銀による国債引受であった。ただし、高橋是清の存命中の日銀引き受けは、売りオペを前提として行われたものであり、日銀は速やかに引き受けた国債の市中売却を進め、日銀による国債の保有残高やマネタリーベースが大きく増加した訳ではなかった。

高橋財政期に為替レートが円安になったことも、デフレ脱却に繋がったわけであるが、これについては金本位制から離脱することによって、金本位制の下で人為的に割高に設定されていた固定為替レートが是正されたことによるものである。金本位制から離脱する前に経済そのものがアク抜けしていたことも日本の景気回復の要因とされている。このあたり、アベノミクスによる円安と似ている面がある。

高橋是清は日銀総裁も経験している。むしろ副総裁のときの日露戦争の戦費調達のための海外での国債発行を成功させたことのほうが有名であったかもしれない。高橋是清はいまで言うところのハト派であり、高橋財政の際にも公定歩合の引き下げを行い、日銀の通貨発行限度額の引き上げも実施している。これは「適正量の通貨供給」を目的とした。つまりマネーサプライの増加である。利下げにより国債の利回りそのものも低下し、当時とすれば低利での国債発行を可能にさせている。

アベノミクスと麻生財務相の言うところのタカハシノミクスには、たしかに類似した面もあるが、外部環境には大きな違いもあった。その大きな違いのひとつに国債市場がある。未整備であった高橋是清の時代に比べ、現在の日本の国債市場は世界最大規模となっている。高橋是清の政策は日銀による国債引受という禁じ手を使ったものの、その目的はマネタイゼーションというよりも、金解禁による円安や低金利政策等による景気回復にあった。それに対してアベノミクスは日銀による国債引受という禁じ手は形式上は使っていないものの、昨年11月の安倍自民党総裁の輪転機発言にみられるようなマネタイゼーションを意識していた面もみられ、それに市場が「衝撃と畏怖」を感じた。現実に日銀は国債発行額の7割強をオペで買い入れることになった。

今後、アベノミクスによりいったいどのようなことが起きるのか。それを占う上でも、タカハシノミクスを相違点等含めて、あらためて見つめ直す必要がありそうである。


2013.5.17「国債の利回りが大きく動いた理由」

15日に10年国債の利回り、つまり長期金利が0.920%に上昇した。5年債利回りも0.455%に上昇している。10年国債の利回りは4月5日に0.315%まで低下しており、そこからは約3倍に。5年債利回りは3月上旬に0.1%近辺にあり、そこからは約4倍となっていた。ちなみに昨年12月にスイスの10年債利回りは0.36%近辺まで低下しており、それまでの世界の長期金利の史上最低を記録していたが、4月5日に日本の長期金利がその記録を塗り替えたことになる。

これほどまでに国債の利回りが大きく動いた理由は何なのか。ちなみに10年国債の利回りは長期金利と呼ばれる。国債の利回りが低下するということはすなわち国債価格が上昇することであり、国債の利回りが上昇すればすなわち価格は下落するということになる。

4月4日の日銀による異次元緩和により大きく変わったのが国債を売買する流通市場、つまり債券市場であった。特に4月5日の債券市場で、10年債利回りは0.315%まで低下したあと、0.620%まで急上昇した。まれに見る相場の変動であった。債券価格で言えば急騰後、急落したことになる。ではなぜこのタイミングで国債は売られたのか。

実は米国でも量的緩和を実施した際に、米国債はやはり下落していた。これは期待で買って事実で売るという、相場の格言が生かされたような動きであった。つまり、FRBは量的緩和をするぞとの期待で買い進まれていたが、実際にそれが決定されると、むしろ利食い売りが入ったのである。さらに将来のインフレも懸念されて30年債など、特に長い期間の国債に売りが入った。

4月5日の日本の国債市場も同様に、異次元緩和で国債が買われたところに利益確定売りがぶつけられた側面があったと思われる。この日の20年債、30年債ともあっさりと1%割れとなっていたが、2003年6月にやはり1%割れとなったあたりで相場が急反転したこと(VaRショックと呼ばれる国債急落)も思い出されたのかもしれない。この日は特に中期ゾーンから長期ゾーン主体に売られており、銀行主体の売りであったかと思われる。横浜銀行の寺沢辰麿頭取は横浜で開いたアナリスト説明会で、残存期間5年以上の国債はすべて売却したと話したと報じられたが、同様の動きをした銀行もほかにあったものと推測される。

4月8日に今度は超長期債が大きく下落している。これは日銀という池の中のクジラの存在が大きく意識されたと思われる。それでなくても超長期国債の流動性はあまり高くない。その超長期債を含めて、日銀が国債発行額の7割を超える額を買い入れることで、あらためて流動性が意識されてきたものと思われる。

その後は次第に相場は落ち着きを取り戻すかに見えたが、5月10日のドル円の100円突破が意識されて、あらためて銀行などが中長期債に売りを持ち込み、先物へのヘッジ売り等もあり相場は再び急落した。4月5日以降の相場変動を受けて、銀行などはリスク管理上、ある程度の相場の動きにより、リスクを減らさざるを得なくなっているとみられ、それで売りが売りを呼ぶような展開となってしまったものと思われる。

今回の債券相場の下落は、異次元緩和により大きな価格変動が生じ、さらには国債の流動性低下も意識されたことで、いわゆる債券の価格変動リスクと流動性リスクが意識された売りと言える。債券から株や外債への資金シフトが要因といったわけではないと思われる。

問題となるのは、これ以外のリスクも意識されているかどうかということである。つまり、債券市場関係者は日銀の異次元緩和により本当に物価が上がると思って、国債を売っているのか。これについては日銀が物価上昇に向けた経路に長期金利の低下という項目を入れている限り矛盾がある。ただし、ポートフォリオ・リバランスへの影響は円安・株高もあり意識されようが、それで果たして経済は上向いてそれが物価上昇に繋がるのか。日本の1〜3月期GDPは年率3.5%の高成長となっていはいたが、設備投資は低迷しており、いまのところそれも疑わしい。

さらに債券には価格変動リスクと流動性リスクとともに信用リスクというリスクが存在する。日銀の異次元緩和による巨額な国債買い入れは実質的な財政ファイナンスとの見方もある。しかし、財政ファイナンスはあくまで政府側の意向・態度次第である。また国債の直接引き受けでもない。欧米の中銀も同様に巨額の国債を買い入れているが、それを財政ファイナンスとはみなされてない。このような点からみれば、そのリスクは意識されていたとしても、それにより日本国債を売っているというわけではないと思われる。

今回の日本国債の下落がどのタイミングで止まるのかは、結局、相場が落ち着いていわゆるボラティリティの低下、つまり価格変動が収まり、銀行などのリスク許容度の回復を待つ必要がある。それにはまだ時間が掛かることが予想される。

2013.5.20「わかりやすい金融政策とわかりにくい結果」

黒田日銀総裁は4月12日の講演で、「量的・質的金融緩和」の実施に当たっては、先ほど申し上げたように、市場や企業、家計に対する「わかりやすさ」という点も意識しましたと語った。

「日本銀行や先進国の中央銀行は、短期金利の低下余地が乏しい中で、非伝統的な政策として、バランスシートを拡大する政策を行っています。こうしたバランスシート政策の効果についての評価は概ね固まってきました。それは、中央銀行が市場から国債やその他の資産を買い上げることで、市場から金利変動などに伴うリスクを吸い上げ、長期金利の低下を促したり、資産価格のプレミアムに働きかける効果だということです。」

4月4日の異次元緩和以降の国債市場での動き、それによる長期金利の動向を確認すると、日銀は市場から価格変動リスクや流動性リスクを押さえ込むどころか、そのリスクを拡大させている。長期金利の低下は確かに当初は促し、4月5日に0.315%まで低下した。ところが当日に0.620%まで上昇した上、5月15日には昨年4月以来の0.9%台に上昇している。

ただし、資産価格のプレミアムに働きかける効果との面では、円安による株高があり、確かに働きかけは成功しているかに思える。

「同じ金額であっても、短期の国債を買うのと、満期の長い国債やETFなどのリスク資産を買うのでは、効果は全く違います。」

短期の国債を買う と違う 満期の長い国債を日銀が買う  ことにより、超長期国債の値動きがおかしくなった。それでなくても流動性の比較的薄いところにも日銀の買いの手がさしのべられた結果、流動性低下というあらたな問題が浮上した。

「買入れの平均残存期間を、現状の3年弱から国債発行残高の平均並みの7年程度に延長しました。これまでのような短めの金利だけでなく、イールドカーブ全体の金利低下を促すことにより、経済・物価への働きかけを強めていくためです。」

結果としては日銀の買い入れにより、むしろ若干とはいえイールドカーブの上昇を促すことになったが、これで経済・物価にどのような働きかけが成されるというのであろうか。

「日本銀行が長期国債を大量に買入れる結果として、これまで長期国債の運用を行っていた投資家や金融機関が、株式や外債等のリスク資産へ運用をシフトさせたり、貸出を増やしていくことが期待されます。これは、教科書的にはポートフォリオ・リバランス効果と言われるものです。長期国債の買入れの平均残存期間を思い切って延長したのは、この効果を意識したものです。」

これについては最近のマスコミでも、国債から株への資金シフトということで報じられているため、見た目はそのような動きとなっているが、そもそも実際にこのようなポートフォリオ・リバランスが日本の機関投資家で大規模に起こりえるのか。ここにきての円安・株高はポートファリオ・リバランスというよりも、円高調整により株がかわれやすくなっていた地合のなか、米国の株式市場の上昇などにも促された結果と思われ、資金シフトが要因だとは思えない。

「これまでの常識を超える規模の(国債の)買入れですので、「整斉と」とはいかない可能性があります。もともと金利低下を促すための措置ですから、市場に対するある程度の影響は不可避ですが、それでも、できるだけ円滑に進めたいと思います。そのためには、金融機関による積極的な応札など、市場参加者の協力が欠かせません。日本銀行では、市場参加者との間で、金融市場調節や市場取引全般に関し、これまで以上に密接な意見交換を行う場を設けることにしました。先週以降、様々な市場関係者との間で、こうした取り組みを始めています。」

たしかに当初は市場との対話を進めることがまずは重要だと思っていたが、どうもその対話方法がちぐはぐである。対話というよりも説明、相場がおかしくなれば力づくで対応しているかに思える。そもそも長期金利の低下を促すという経路がおかしくなっているにもかかわらず、円安株高による資産価格の上昇により、日銀の異次元緩和はいかにもうまく行っているように見えるが、現実には長期金利は低下どころか大きく上昇しているという事実をどのように説明するのか。物価が上がるのを見越しての長期金利の上昇であれば問題ない、と言うのであれば、どのような経路で物価上昇を促すのかについて新たな説明も求められる。21日、22日の金融政策決定会合後の総裁会見ではこのあたりの説明を伺いたい

2013.5.21「異次元緩和受けて誰が国債を売買していたのか」

日本証券業協会は5月20日に4月の公社債投資家別売買高を発表した。日銀は4月4日の金融政策決定会合で「量的・質的金融緩和の導入」を決めたことをきっかけに、債券相場は乱高下していた。この際に投資家がどのような動きを見せていたのか、これによりある程度把握できるかと思われる。

最大の売り手は都市銀行となっていた。中長期債主体に売り越しており、売越額は2兆7971億円。これを国債の投資家別売買高でみると、超長期は1513億円の売り越し、長期は1兆5005億円の売り越し、中期は1兆517億円の売り越しとなっていた。3月の都銀による長期債の買越額が2兆7924億円となっており、期が変わり、異次元緩和による一時的な利回り低下もあり、利益確定売りを入れたものと思われる。

ほかに売り越していたのは農林系金融機関で、7865億円の売り越しに。こちらは超長期を2981億円売り越し、長期を3175億円売り越し、中期は328億円買い越しとなっていた。

買越額が大きかったのは、地方銀行(+1兆8852億円)や信託銀行(+1兆6261億円)、その他金融機関(+1兆4601億円)となっていた。地銀は超長期を1346億円、長期を9065億円、中期を4832億円、それぞれ買い越していた。信託は超長期を4189億円、中期を1兆2047億円買い越していたが、長期は2625億円の売り越しに。その他金融機関は中期債を1兆812億円買い越していた。

生保・損保は2413億円の買い越しに止まっていた。超長期は574億円の買い越し、長期は2629億円の売り越し、中期は2572億円の買い越しに。生保による超長期債の買越額が1000億円を割り込んだのは、2009年5月以来となる。生保による超長期債の売買高は4月以前と比較して落ち込んだわけではないが、4月5日に20年債、30年債の利回りは1%割れとなり、いったんは戻り売りも入れたものと思われる。

外国人は7157億円の買い越し。超長期を6428億円買い越し、長期は1兆2809億円のこちらは売り越し、中期債は1兆3621億円の買い越しとなっていた。超長期債の最大の買い越しは この外国人であった。

2013.5.23「奇襲に成功したアベノミクスと高橋財政の違い」

アベノミクスがスタートしたのは、衆院解散が正式に表明された2012年11月14日とされる。この日を境に円安の動きが加速され、日経平均が上昇トレンド入りする。安倍首相誕生への期待から円安・株高が急速に進むことになる。

市場に対する奇襲攻撃が開始されたのは、11月16日の衆院解散の翌11月17日における熊本での安倍自民党総裁の街頭演説であった。安倍総裁は、衆院選後に政権を獲得した場合、金融緩和を強化するための日銀法改正を検討する考えを重ねて表明した上に、建設国債をできれば日銀に全部買ってもらう。新しいマネーが強制的に市場に出ていくと述べた。さらに同日の山口市での講演では、安倍総裁は、輪転機をぐるぐる回して、日本銀行に無制限にお札を刷ってもらう、と発言したのである。

これ以前に、安倍自民党総裁は政権奪還後、政府と日銀はアコードを結び、インフレターゲットを設定する。目標達成までは無制限な対応を行い、もし政策目標達成できなければ、日銀には説明責任を求める。さらに日銀法改正も視野に入れている旨を示唆していた。政府と日本銀行が政策協調してデフレ脱却をして円高を是正し、経済を成長させていく新しい成長戦略を前に推し進めて行かなければいけません、との発言もあった。

11月17日の発言の前までは、「インフレターゲットの設定」、「日銀法改正も視野」、などリフレ派の影響がみられる発言をしていたが、あくまで野党党首であり、当時の民主党政権との政策の違いを強調するための発言と私自身は受け取っていた。

ところが、衆院が解散されたとなれば、次期首相の可能性が極めて高くなることで、そのタイミングで、財政ファイナンスを意識させるような発言が飛びだしたのである。まさにこれは結果からみて見事な奇襲作戦と言えた。

その作戦を具体化したのは2013年3月20日に日銀総裁に就任した黒田東彦氏であった。日銀での経験のない黒田氏が、早期に安倍政権の意向に沿った金融緩和を決定するのは、難しいのではとの見方がある一方、臨時会合を開いて早期に実施するのではとの一部の期待もあった。実際には4月3日、4日の通常会合を視野に安倍政権の意向に答えるかたちで密かにあらたな金融緩和策が練られていたようである。

4月4日の金融政策決定会合で決められた異次元緩和と呼ばれる政策は、市場の予想を大きく上回るものとなった。リフレ派の意向をそのまま具体化したようなものとなり、市場に対しては「真珠湾攻撃」の如く、さらなる円安・株高という結果をもたらせた。

このアベノミクスで起きたようなことが、1931年12月にも起きている。犬養内閣の成立にともなって高橋是清が蔵相に就任、直ちに「金輸出が再禁止」された。12月13日の金輸出禁止のニュースを受け、これを好感した14日の東京株式取引所は買い物殺到で整理がつかず、15日から17日は休場せざるを得なくなった。

金輸出禁止に加えて、円安政策をとったことから、外為市場では円が急落。金本位制を離脱したことにより、金の保有量に制約されずに積極的な財政政策を行いやすくなった。当時の国債市場は未整備であり、大量の国債発行を円滑に進めるために高橋是清が取った手段が「日銀による国債引受」であった。これは積極的な財政政策にともなう巨額の国債発行を行いやすくさせるための手段との位置づけであった。

いわゆる高橋財政と呼ばれたこの政策により、円安・株高が進み、景気も一気に上向くことになる。

ここで注意しなければいけないのは、高橋財政には経済に直接働きかける手段があったという点である。つまり金本位制に縛られ、円安政策も財政政策も取れず、緊縮財政で景気が極めて低迷していたところに、金本位体制という障害を取り外すことで、効果的な政策を取ることが出来た。高橋蔵相への期待もあったことで、期待に働きかけた側面も否定はしないが、期待のみで高橋財政によるデフレ脱却が可能となったわけではない。

これに対してアベノミクスで行った手段は、財政ファイナンスを意識させるような金融政策により、円安・株高を進めることにあったと思われる。ただし、いまのところはデフレ脱却による円高修正というよりは、円高修正によるデフレ脱却を進めるという格好になっている。

高橋財政も景気が底打ちしていたタイミングであったことで、景気回復を加速させた面があった。アベノミクスによる円高修正も根底には、欧州のリスク後退による円高修正がすでに入っているなかで、円安の動きを加速させた。米国の株式市場も世界的なリスク後退もあり、過去最高値を更新するなどしたことも東京株式市場の上昇の背景となっている。

問題となるのは、高橋財政にはその後の景気回復やデフレ脱却に向けてのトランスミッション・メカニズム(波及経路)がはっきりしていたが、アベノミクスはそこが極めて曖昧となっている点である。もちろん日銀の異次元緩和だけで、2年間で2%の物価上昇が確実だというのであれば問題はないのかもしれないが、本当にその理論は正しく、副作用はないのか。過去日銀が、ここまで大胆な政策を講じなかったのは、その効果への疑問とともに副作用にも目配りしていたからではないのか。奇襲には成功したアベノミクスだが、成果が問われるのはこれからであり、高橋財政のような具体的なデフレ脱却への波及経路が示されないと、円安・株高を加速させただけの政策ともなりかねない。

2013.5.24「長期金利が1%に上昇した背景」

5月23日の債券先物は1円安の140円90銭で寄り付きとなった。1円安ではあったものの、寄り付き時点ではサーキット・ブレーカーは発動せず(当該値段以外で5分間取引が成立しない場合ではなかったためか)、その後141円01銭に買い戻された。その後再び140円90銭まで売られ、8時53分にサーキット・ブレーカー発動し取引が10分間停止した。解除後に140円70銭まで下落、その後買い戻しが入り141円台を回復。さらに東京株式市場の急落もあり、債券先物は142円74銭まで急上昇し、大引けは142円51銭となった。

現物債は10年債主体に動きがあり、23日の朝方に10年328回の利回りは1.000%ちょうどまで上昇した。つまり日本の長期金利が昨年4月5日以来の1%台となったのである。その後、債券先物の買い戻しにも影響され、10年債利回りは0.825%まで低下した。

今回は23日に日本の長期金利がなぜ1%まで上昇したのかについて見てみたい。もちろんヘッジファンドなどによる仕掛け的な動き(債券売り)があったためとも言えるが、ここにはいくつかの要因も重なっていたと思われる。そのひとつはFRBの動向とそれによる米債への影響であった。

5月22日にバーナンキFRB議長は、上下両院合同経済委員会で証言を行い、「経済の勢いを示す徴候がさらに増えなければ緩和ペースを縮小させることはできない」と述べ、時期尚早の金融引き締めは、景気回復をリスクにさらす恐れがあるとの認識を示した。

ところが、証言後の質疑応答で、景気指標の改善が続けば債券購入のペースを減速させる可能性があると指摘。この日は4月30日〜5月1日に開催されたFOMC議事要旨も発表されたが、複数の議員が、早ければ6月にも資産購入を減額したいとの意向を示していたことが明らかになった。

FRBが早ければ6月にも「出口」というか「正常化」に向けた動きをはじめる可能性が出てきた。もちろんこのためにはあらためて雇用の改善等を確認する必要がある。ただし、世界的なリスク後退とそれを背景とした動きは、米国株式市場にも現れており、ダウ平均やS&P500種株価指数は過去最高値を更新してきた。22日、23日のダウ平均は続落となったが、それほど大きく下落したわけではなかった。

バーナンキ発言等を受けて22日の米国債券市場で米債は下落し10年債利回りは2.02%と2%台に乗せた。23日の米10年債利回りも2%台を維持していた。これを見てもあらためて世界的なリスク後退による「超低金利時代の終焉」が意識されてきたものと思われる。これも今回の日本の長期金利が1%をつけたひとつの要因と思われる。

22日の日銀の金融政策決定会合で金融政策は現状維持となった。現状維持との見方が多かったにもかかわらず、これを受けて債券は下落した。債券市場の動揺に対して何らかの政策を期待するむきも一部にあったようである。

黒田日銀総裁の会見では、「債券市場、ボラティリティ高く十分注意が必要と警戒を示し、国債買い入れ頻度やペースの調整など弾力的にオペ行う、年間50兆円の買い入れペース変えず、その中で弾力的に対応」との説明があった(ロイター)。特にあらたな対策等が講じられるわけではなさそうである。

総裁からは「長期金利は短期金利のように中銀が完全にコントロールすることはできないが働きかけはできる」との発言もあった。「量的質的緩和による金利低下圧力の下、長期金利が跳ね上がることは予想していない、長期金利の上昇は物価上昇や景気回復期待の要素ある」とも述べた。どうやら自らの政策が債券相場の流動性に影響を与えた面などは置いといて、あまり危機感は意識していないようにも受け取れた。

黒田総裁は「長期金利上昇、今の時点で実体経済に大きな影響及ぼすとは見ていない」ともしており、1%程度は許容範囲なのかもしれない。しかし、その速度や価格変動幅はもう少し意識すべきではなかろうか。

「景気や物価の回復期待、日銀のプレミアム圧縮効果を相殺して長期金利上げることもあり得る、実質金利はたぶん下がっている」との発言もあった。今回の長期金利の上昇は、インフレ予想もいくぶんかあるかもしれないが、市場参加者による日銀への信認への揺らぎなどが影響していた可能性もある。

債券市場参加者は国債から他の資産に振り向けるというアロケーションなどよりも、日本国債そのものに内在するリスクが異次元緩和で炙り出されてくる懸念とかを意識している可能性もある。日銀がパンドラの箱を開けてしまい、国債市場を安定化させていた基盤が緩み始めたとの見方もできるかもしれない。長期金利は1%をつけたあと急低下した。しかし、一度1%をつけた以上、長期金利はあらたな水準に移行してくる可能性もありうる。


2013.5.25「23日の市場の動きと今後への不安」

5月23日の東京市場の動きは、記録にも記憶にも残るものであったと思われるので、少しまとめておきたい。

異変がまずあったのが債券市場。債券先物は寄付から前日比1円安と急落した。FRBが早ければ6月にも「出口」というか「正常化」に向けた動きをはじめる可能性が出てきたことで、22日に米国の長期金利が2%台に乗せたことがひとつの要因。22日の日銀金融政策決定会合後の黒田総裁の会見で、長期金利の上昇についてはそれほど懸念してはいないと認識され、これも嫌気されての債券売りであったと思われる。

債券先物は141円01銭に買い戻され、その後再び140円90銭まで売られて、8時53分にサーキット・ブレーカー発動し取引が10分間停止した。現物債は10年債主体に売られ、10年328回の利回りは1.000%ちょうどまで上昇した。つまり日本の長期金利が昨年4月5日以来の1%台となったのである。

FRBの出口が意識された外為市場では円安ドル高が進み103円台に。この円安もあって、23日の東京株式市場は買いが先行し、一時前日比300円を超す上昇となり、日経平均は16000円手前まで上昇した。

この一連の動きから、海外ヘッジファンドなどは103円台の円安と、それによる日経平均先物買い、同時に債券先物の売りを仕掛けていた可能性がある。22日の日米の中銀トップの発言は債券の売り材料ではあったが、先物のストップ安を誘うほどのものではなかったと思う。先物とともに現物はベンチマークの10年債主導の動きであり、メガバンクなどの動きが主導していたようにも思えず、海外投資家の仕掛け的な動きの可能性が高かったのではなかろうか。

債券は売り一巡後は買い戻され、日経平均は16000円手前で買いは止まり、上値が重くなった。動きがあったのが10時10分で、日銀はシグナルオペと言える1年物共通担保資金供給(全店、固定金利方式)を午後ではなく午前中にオファー、さらに国債入札日(流動性供給入札)にも関わらず国債買い入れ(残存期間1年以下と1年超5年以下)をオファーした。このシグナルオペに債券先物は反応し、債券先物は買い戻しが加速、反対に日経平均先物は戻り売りに押され、中国の5月製造業PMIの低下などもきっかけに下げ幅を拡大させた。

午前中のタイミングで、朝方の債先売り・株先買いのポジションをひっくり返してきた可能性がある。株式市場では次第に売りが売りを呼ぶような動きとなり、反対に債券は先物や10年債主導で、一気に上昇し142円台に。ただし、超長期債は14時以降はほとんど出合いなく、まさにディーリング相場となっていた。

日経平均先物は震災後の2011年3月15日以来のサーキッド・ブレーカーが発動し、結局、前日比1143円安と2000年4月以来の大きな下げ幅となった。

債券先物は142円74銭まで買い戻されて、大引けは61銭高の142円51銭。現物債は10年債が一時の1.000%から0.825%まで戻った。5年債は0.455%から0.355%と0.1%も当日中に利回りが低下した。以上が23日の債券と株の動きであった。

この株式相場の下落に対し、甘利明経済再生担当相は閣議後の会見で、「アベノミクスは順調に進展しており、また日銀は市場との対話を総裁自らが実践している」との認識を示した。

果たしてアベノミクスは順調に進展しているのか。さらに日銀は市場との対話を総裁自らが実践しているのか。このあたり、やや疑問を抱かざるを得ない。

アベノミクスの大きな柱となる金融政策で行おうとしているのはデフレからの脱却である。デフレからの脱却期待で長期金利が上昇との見方もあるかもしれないが、異次元緩和で物価が上昇している兆候はいまのところ見えていないし、市場参加者も2%の物価上昇には自信が持てないでいる。物価連動国債から算出されるBEIは流動性はほとんどなく、それを参考にするのはやや無理がある。日経新聞によると5月の民間エコノミストの経済予測平均で、2015年1〜3月期の消費者物価上昇率は消費税率上げの影響を除いて前年同期比0.6%の上昇となったそうである。6月に消費者物価指数は前年比プラスに転じるのと観測だが、これは異次元緩和の影響というよりも円安による影響が大きい。

アベノミクスが順調に進展しているように見えているのは、あくまで欧州の信用リスク後退を背景にした円安と米国株の上昇の影響なども受けた株高に負うところが大きく、アベノミクスが順調に進展していると言うよりは、順調に株高が進展してきたとみたほうが良い。

日銀は市場との対話を総裁自らが実践しているとの見方も疑問を抱かざるを得ない。むしろ総裁と債券市場参加者の間には距離が出来ており、それが長期金利の上昇を招く要因のひとつになっている。日銀はシグナルオペなどを使って、長期金利の急激な上昇に対応しているが、これも小手先の手段でしかなく、総裁と市場との距離が縮まらない限り、そしてアベノミクスとそのための異次元緩和に対する市場参加者の不安が取り除かれない限り、長期金利を押さえ込むことは難しくなると思われる。


2013.5.28「日銀の国債買い入れの意味とは」

4月26日に開催された日銀の金融政策決定会合の議事要旨が27日に公表された。黒田日銀総裁の「量的・質的金融緩和と金融システム」という26日の講演内容も日銀のサイトにアップされたため、こちらを含めて特に国債や長期金利に関する部分を見てみたい。

「量的・質的金融緩和」導入後の債券市場では、直後にやや振れが大きくなる局面があったが、その要因を日銀の政策委員は次のように分析を行っていた。

「複数の委員は、当初、市場は、金利の押し下げにつながる大規模な国債の買入れと、金利の押し上げにつながる「物価安定の目標」の早期実現への強い姿勢とが相反するものと受け止めて動揺した可能性があると指摘した。」(4月26日に開催された日銀の金融政策決定会合の議事要旨より)  この説明は一見そうかな、と思えるものの需給要因とファンダメンタルズ要因、テクニカルの要因が混在しており、それは分けて見ておく必要があるのではなかろうか。

日銀の大規模な国債買い入れは、国債の需給面からは当然ながらプラス要因となる。年度の発行額の7割強も日銀が購入するとなれば大量の国債発行も問題はなくなる。注意すべきはこれまでも国債は円滑に消化されてきたということである。日銀が購入額を増やさねばならないほど、国債の買い手がなくなっていたわけではない。日銀の購入額は年間発行額の7割とはいえ、700兆円という発行残高からみればそれほど大きくはない。ただし、債券の流通市場では主に新規に発行される国債を中心に売買される。売買市場で本来流通するはずの国債が日銀に吸い上げられてしまい、こちらも円滑に売買されていた債券市場の機能低下が懸念された。

ファンダメンタルズ要因としては、金利の押し上げにつながる「物価安定の目標」の早期実現については、エコノミストなどの今後のCPI予想等を見ても明らかなように、それが可能とみている金利関係の市場参加者は少ないと思われる。ただし、2年後に2%の消費者物価指数の上昇を本気で日銀が考えているのであれば、今後もかなり無理な金融政策を打ってくる懸念が残る。その手段がさらなる国債の買い入れであったり、リスク資産であったりすれば、それは財政ファイナンスとの見方が強まり、日銀への信認そのものへの揺らぎも予想される。むしろ、こちらの不安が大きかったのではないかとも思われる。

4月5日に10年債利回りが過去最低の0.315%まで低下したことによる利益確定売り、しかも期初でありある程度の益固めの売りを、将来への不安もあって行ってきた投資家がいたとみられる。メガバンクなどの売りも入ったと予想され、その規模も大きく5日に相場が乱高下し、ボラティリティの増加がさらなる売りを誘うようなテクニカルな要因も加わって悪循環も起きた。それはいったん収まったかに見えたが、5月10日以降再び急落し、長期金利は一時1%に上昇した。この国債の下落については、ドル円の100円突破がひとつのきっかけになった。債券先物の出来高や建玉が5月10日以降、大きく膨らんでおり、市場参加者の不安心理が残るなか、海外のヘッジファンドなどによる仕掛け的な売りが、結果としてチャートも意識した相場急落の要因になったと思われる。

「何人かの委員は、「量的・質的金融緩和」が効果を十分発揮するためには、政策意図の丁寧な説明や適切な金融市場調節などにより、市場の安定を確保する必要があるとの認識を示した。」

政策意図の丁寧な説明と言っても、イールドカーブ全体の低下を促しての物価上昇シナリオは、この長期金利の上昇により説明が困難になりつつある。それに対して円安・株高を強調しての物価上昇の説明となれば、あれだけの巨額の国債買い入れの必要性が疑問視される。もしマネタリーベースを増加させるのであれば、長い期間の国債を無理に買わなくても当座預金残高の増加は可能であったはずである。

黒田総裁は講演で、波及経路について「長期国債やETF、J−REITの買入れによって、「イールドカーブ全体の金利の低下を促し、資産価格のプレミアムに働きかける効果」、「ポートフォリオ・リバランス効果」、「物価安定の目標の早期実現を明確に約束し、これを裏打ちする大規模な資産買入れを継続することで市場や経済主体の期待を抜本的に転換する効果」を指摘した。

最初の経路はすでに絶たれつつあり、2番目もそのような動きはあまり見えていない。つまりは三番目の期待に期待する政策については、円安・株高というひとつの結果を招き、効果ありとの見方もできるかもしれない。円安・株高を促進させた面は認めるが、そもそもそれを仕掛けやすい地合に転じていたことも忘れてはならない。実質的な効果というよりも、アナウンスメント効果を意識して期待に働きかけるとすれば、国債の巨額買い入れの必要性があったのか。アナウンスメント効果であれば、その効果がそれほど長くは持続するとは思えない。ここにきての株価の乱高下により、異次元緩和からの円安・株高、それによる物価・景気の上向きへのパスにも疑問符が付きはじめている。


昨今に起きている事は何なのか?
其の一側面を説明してくれている。
本当に ありがとうございます。

では どうなるのかな?
大体の絵図は見えるけど ド素人である俺では言葉で説明が殆ど出来ない、困ったなぁ。







posted by 誠 at 06:30| Comment(0) | TrackBack(0) | (゚∀゚) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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