とあるスレから。
物語としては、感動モノではないかもしれない。
そもそも 長い。
ただ、個人的に残してみようと思った。
人の生き様があったから。
人の生き様を知ることは、
人生の深みを知ることで
心の糧になることだから。
俺の心の糧になったことは確かだから、
ここに残しておこうと思う。
↓
170 :名無しさんの初恋 :2005/11/04(金) 19:35:55 ID:AEdqIgbm
なんか、俺も自分の恋愛話をスレ立てしたくなってきた。
171 :名無しさんの初恋 :2005/11/04(金) 20:00:25 ID:KAOX7NVG
>>170
ここの1は消えたようだからここ使えば?
172 :名無しさんの初恋 :2005/11/04(金) 20:11:08 ID:AEdqIgbm
>>171
wwwでも、漏れのは、ケータイ関係ないんだwww
173 :逆転スラムダンク高校:2005/11/04(金) 20:15:55 ID:h6d3rRfT
聞こうじゃないか
174 :名無しさんの初恋 :2005/11/04(金) 20:26:21 ID:AEdqIgbm
>>173
長いぞ、多分wwww
175 :逆転スラムダンク高校:2005/11/04(金) 20:27:52 ID:h6d3rRfT
>>174
構わないさ。綴ってくれ
176 :名無しさんの初恋 :2005/11/04(金) 20:31:22 ID:AEdqIgbm
わかった。できるだけ、読むのが飽きないように書いてみる。
題名は・・・
まあ、それはいつか誰かが、つけてくれwwww
180 : ◆HPyFqJcNpk :2005/11/04(金) 20:36:41 ID:AEdqIgbm
結構重いが引くなよww
では。。。
彼女に出会ったのは今から1年前。
知人を介して飲み会の席で知り合った。
3対3の飲み会で合コンとはちょっと違って僕以外は皆顔見知り。
僕は当時彼女もいたから「合コンじゃなければ」と
気兼ねなく参加することができた。
その中で僕が始めて会った女の子は2人。
その中に「ウィッス!」みたいな軽い挨拶をしてきた子がいた。
皆から「姉さん」と呼ばれている子だ。
僕よりも3つ年下で身長も155cmしかないし、
「姉さん」と呼ばれているワリにはちっちゃいが、
何事にも物怖じしない、明るい子で
「姉さん」と呼ばれるだけの気さくさを持ち合わせていた。
それが、彼女に初めて会った時の印象。
181 :名無しさんの初恋 :2005/11/04(金) 20:38:05 ID:6c7K5dnn
恋は・・・なんか痛い感じがするよな。
182 : ◆HPyFqJcNpk :2005/11/04(金) 20:43:52 ID:AEdqIgbm
お店に入っても「姉さん」はテーブルに運ばれたサラダやら刺身やら、
そして大好きだというスーパードライをガブ飲みしながら、
初対面の男を前にしても物怖じせず良く食べ、良く飲む子だった。
少し呆れたけど、その飾らない性格に自然と会話が弾んだのを覚えてる。
だけど、皆はそんな彼女に
「おいおい、大丈夫かそんなに飲み食いして」と心配していた。
うん、"心配"してたんだ。
別に太ってるわけでもないし不思議に思ってたけど、
それも冗談のうちかと、僕も「大丈夫か?」なんて話を合わせてた。
だけどその雰囲気が僕は苦手だった。
嫌な感じがしたんだ。何か自分だけ疎外されているようなそんな感じ。
それが、いづれ彼女の心配を
誰よりも僕がすることになるなんて思ってもいなかったんだけどな。
184 : ◆HPyFqJcNpk :2005/11/04(金) 20:50:29 ID:AEdqIgbm
当時「姉さん」は結婚をしていると言っていた。
結婚2年目だというのだが、旦那と上手くいかないなんて愚痴をこぼしていた。
彼女は数ヶ月前まで美容師として働いていたらしいが、
今は専業主婦で、仕事をしたいができないとか、子供も作れないとかぼやいてた。
それも明るく冗談のように話していた。
それが何故なのか少し原因が気になったけど、
初対面の女性を相手にあまり深くクビを突っ込むことには腰が引けて、
冗談半分で「別れろw別れろw」なんて煽ってた。
それが彼女との出会いだった。
ほんとに普通の出会いだなwww
>>181確かに恋はちょっと違うなwww
185 : ◆HPyFqJcNpk :2005/11/04(金) 20:58:41 ID:AEdqIgbm
その出会いの後、一度だけ皆で飲むことがあった。
2ヶ月くらいが経ち、今度は彼女と二人で飲むことになった。
それは彼女からの誘いだった。
「相談があるんだけど、明日飯でもどう?」
普段なら、女性からのこんな誘いには喜んで行くんだけど、
そのときは何か二人で会う事に少し抵抗感があった。
もちろん彼女が結婚していたというのもあったが、
それだけではないものも、なんか感じていたと思う。
それは上手く言葉にはできないけど。。。
でも、僕の答えは
「もちろん、大丈夫だよ♪」
断る理由なんて見つからなかった。
嫌な感じは拭えないけど、
会わなきゃいけないみたいな気持ちもどこかにあったと思う。
いや、決してやましいコトは考えてなかったと思うけどww
188 : ◆HPyFqJcNpk :2005/11/04(金) 21:04:55 ID:AEdqIgbm
日付が変わり、彼女に会う日を迎えたわけだが、
僕の心の中は、昨日の嫌な感じが使命感に占拠され始めていた。
「彼女が僕に助けを求めている」
勝手にそんな事を思い始めていたw
そんな事を考え始めていたら使命感すらだんだんと薄れてきて、
今度は自分の都合の良い"男"部分が少しづづ前に出てくる。
もしかしたら、「あなたのことが好きだから、今の旦那と別れる」
なんて言い出すんじゃないかって、
そんなことまで考え始めて、
1人妄想を抱きつつ受け答えのシュミレーションまでしている自分がいた。
しかし、ふと我に返って。。。orz。
男ってほんと見境ないよなw
189 :名無しさんの初恋 :2005/11/04(金) 21:09:36 ID:6c7K5dnn
いやー普通だよW
俺もそんな妄想するし。
はぁ orz
190 : ◆HPyFqJcNpk :2005/11/04(金) 21:09:12 ID:AEdqIgbm
日も暮れ始めてそろそろ彼女との待ち合わせの時間。
僕は普段あまり身に付けていなかった、
サイパンで買ったサーフボードを模ったシルバーのネックレスを身に付けた。
少しでも若作りしてみたくなったと思うw
彼女はどちらかというとラフな感じのファッションだし、
僕はどちらかというと黒が主体のファッション。
それでも彼女に合うように少し崩したセレクトで、
少し納得いかない感じだが、そのまま出かけてみることにした。
193 : ◆HPyFqJcNpk :2005/11/04(金) 21:16:38 ID:AEdqIgbm
彼女と向かったのは、僕がオープンのお手伝いをした
芝公園の近くにあるイタリアンレストラン。
ここはめちゃめちゃパスタが上手い!
スタッフも良く知ってる連中だから、気兼ねなくわがまま言えるし、
常連っぽく振舞えれば、
彼女の僕に対するポイントもアップするんじゃないかなんて、
気分はもう恋人気分だったと思うなw
一応僕の仕事にも触れておく。
漏れはレストランをつくる仕事をしている。
かっこよく言えばプロデューサー。
正確にはそういう会社に勤めているサラリーマンなわけだがww
それでも、「ここは僕が作ったお店だよ」なんて言いながら、
女の子を誘う武器にしていたことは言うまでもないのだが。。。スマソ
194 :名無しさんの初恋 :2005/11/04(金) 21:19:13 ID:w2SnGz6h
>>193
当時のお互いの年齢教えて。
スペックもできれば。
195 : ◆HPyFqJcNpk :2005/11/04(金) 21:18:37 ID:AEdqIgbm
お店はもちろんリザーブを入れてあるし、僕とスタッフはツーカーだ。
スムーズに店内に入ることは当たり前。
席についてスタッフが持ってきたメニューを手にしながら、
お決まりのように彼女がスタッフとやりとりを始める。
「ここのビールは何ですか?」
「モルツです」
「スーパードライはないの?」
「申し訳ございません」
「チッ…じゃあ、ワインでも飲むか」
おいおい、舌打ちかよ。。。
何もそこまでスーパードライにこだわらなくてもいいだろうに。。。
しかし、そんな舌打ちすら笑いに変える彼女の人柄はスタッフにも伝わっている。
ビールの味に無頓着な僕は彼女のこだわりはいまいち理解できないが、
次に出す店はスーパードライにしようと心に誓ったw
197 : ◆HPyFqJcNpk :2005/11/04(金) 21:23:51 ID:AEdqIgbm
>>194
実年齢はカンベンしてくれwww
20代後半で僕と彼女は3つ違いとだけ言っておくわ。
まあ、スペックはそのうちわかるように書いていく。
199 : ◆HPyFqJcNpk :2005/11/04(金) 21:30:09 ID:AEdqIgbm
ワインは僕がセレクトした。
仕事の関係上それなりにワインには詳しい。
確かルピカイアというイタリアのワインだ。
カベルネを使ったパワフルでいて繊細なワインだ。
とワイン教本に書いてあった。
ぶっちゃけ、ワインの味なんぞわからんのが本音。
スタッフは普段やらないくせに僕が女性と二人っきりなもんだから、
テイスティングを勧めてきやがった。僕のグラスに少しだけワインを注ぎ、
「如何ですか?」
(よし、やってやろうじゃないの)臨戦態勢に入った僕は
数回グラスを回してから舌先にワインを運び、
テイスティングしてる"フリ"で、お決まりの「結構です」。
カッコいいんだか悪いんだか。。。
彼女はそんな僕のぎこちなさを察知したのか、
「本当にわかんのかよっ!?wwww」
やっぱりそれが「姉さん」の突っ込みだよな。
その突っ込みに僕の空回り気味の気合が消えた。さすが「姉さん」。
しかしこれで、もう僕にはシルバー以外の武器wである
必殺の決め台詞を言うタイミングは無くなった。
「ここはねぇ、僕が作ったお店なんだ」
言えねーわな、この人にゃ。。。。。。。orz
200 : ◆HPyFqJcNpk :2005/11/04(金) 21:37:38 ID:AEdqIgbm
彼女とは何度か皆で食事に行ったことがあるのは先にも書いたが、
彼女には食事に来るとお決まりの行動パターンがある。
それは、食事の前に必ずトイレに行くことだ。
この日も注文が全て終わると、いつものピンクの化粧ポーチを持ってトイレに行く。
なんか僕はその光景が「姉さんらしい」なんて思ってた。
普通は食後に行くものだが、彼女曰くは、
「美味いもん食ってる最中で、もよおしたら嫌だろ?」ってことらしい。
(そういえばこの人主婦なんだよな。
まあ、普段は旦那と外食もしてないみたいだし、
ガッついてくださいな。奥さんwww)
201 : ◆HPyFqJcNpk :2005/11/04(金) 21:43:24 ID:AEdqIgbm
食事はいつものように楽しい会話で盛り上がった。
相変わらず良く食べるし良く飲む。
こんなちっちゃい体に良く入るなと関心する。
いつものように僕は彼女の食事量を心配する"フリ"をする。
「そんなに食べて大丈夫か?www」。
僕はいつものような冗談で言ったつもりだった。本当に他意はなかった。
しかし、そのときの彼女の目はいつもの冗談を言う目じゃなかった。
なんか寂しそうで、
少し怒った感じもあるような今までの「姉さん」には無かった目だ。
「うるさい」
彼女は聞き取るのがやっとなくらいの小声でそういった。僕は耳を疑った。
(いや、これも「姉さん」の冗談だろ?)
そう言いかけたけど、意気地のない僕からやっと出た言葉は
「・・・ゴ、ゴメン」
それから少し嫌な空気が流れたが、
彼女はすぐにいつもの「姉さん」に戻ってくれた。
206 : ◆HPyFqJcNpk :2005/11/04(金) 21:48:22 ID:AEdqIgbm
他愛の無い会話が続くとネタ切れ空気が微妙に横切り、
それを察知したかのように彼女が言った。
「そのネックレス可愛いな」
うおっ!?褒められたぞ!
「どこで買ったの?いいなぁ」
さすがに日本で売ってる代物ではないので、
サイパンで買ったことやしかも怪しい路商で買ったことを告げると、
少しだけ彼女は残念そうにした。
僕はあげようかとも一瞬思ったが、付き合ってもいない、
ましてや旦那持ちの女性に自分の使ってるものを
プレゼントするのはさすがに気が引けた。
ケチ?いや、漏れにとっては「姉さん」より大事な彼女がいるからね。
だけど、僕にとってはこのネックレスがちょっと自慢に思えた。
「毎日つけっかな♪」
ホント、単純。。。orz
207 : ◆HPyFqJcNpk :2005/11/04(金) 21:54:23 ID:AEdqIgbm
食事を一通り食べ終えるとデザートメニューが運ばれてきた。
僕はイタリアのデザートは好きではなかったけど、
一応アフォガードを頼んだ。
これなら甘すぎないし、大人っぽい感じも出せるはずw
僕の注文が決まって彼女に注文を促すように目線を向けたところで
彼女はメニュー表を閉じてこう言った。
「甘いもんは無理」
ちょっと残念だけど、なんか「姉さん」らしい。
甘い物が嫌いなんて、男らしいじゃないか「姉さん」。
「嫌いなら仕方が無いね」
俺の何気ない一言にまた、嫌な空気が流れたのがわかった。
さっきの目だ。寂しそうだけど怒った感じの"あの目"だ。
今度は言ってやる
「俺なんかまずいこと言った?」
スマソ。。。やっぱり強気に言えない。。。orz
208 :名無しさんの初恋 :2005/11/04(金) 21:58:51 ID:AEdqIgbm
1秒、2秒、3秒・・・・・・・・・15秒・・・・・って無視かよ、おい!
「・・・・・・・・相談なんだけど・・・」
って、唐突だな、おい!
「姉さん」らしいやりとりが少し楽しくて、
さっき感じたあの嫌な感じのことはもう忘れていた。
「どうした?旦那と別れるとかいうのか?シシシwwwwwwwww」
「うん、それもある」
おーーーーーーーーーーーい!!!!!!
やばい、落ち着け俺。こいつの魂胆はなんだ!
やばい告白されるぞ俺!ローマの休日か?いや、それは状況が違う!
離婚とか俺にはわからねーーーー!!!!慰謝料はもらった方がいいんだよな?
弁護士紹介するべきか?つーか、俺には彼女いるし!
今考えると多分これくらいテンパってたと思うんだ。
210 : ◆HPyFqJcNpk :2005/11/04(金) 22:03:14 ID:AEdqIgbm
自分を冷静にしようと彼女に投げた言葉は
「マジ?」
彼女は頷いて言葉を続けた。
「実はすでに離婚してるんだ。
初めて星君(僕の偽名)に会ったすぐ後くらいに手続きが終わったんだ。
ごめんね。黙ってって」
話では、彼女は半年前に別居して、実家に戻っていたらしい。
離婚も決まって、それで外で遊ぶことが増えたと言っていた。
家にいるのがすごく嫌だったみたいだ。
211 : ◆HPyFqJcNpk :2005/11/04(金) 22:09:00 ID:AEdqIgbm
そして、離婚の原因はそこそこに、
そのまま彼女は自分のことを色々話始めた。
むしろ自分のことより家族の話が中心だったと思う。
お母さんが他界した話、お父さんと二人暮らしだが、
酒癖が悪くて困っていること。
お兄ちゃんは結婚して埼玉に行っているとか。
お母さんの話には泣きながら、お父さんの話は寂しそうに、
お兄ちゃんの話は楽しそうに、だいぶお酒が入っていたせいもあって、
所々呂律が回らなかったりもしたが、
表情豊かに2時間くらい話ていた。
212 : ◆HPyFqJcNpk :2005/11/04(金) 22:14:17 ID:AEdqIgbm
話も一段落したころ、彼女はふと思い出したように元の話に戻った。
「で、相談なんだけど。。。」
僕の鼓動が、また少し高まった。
「実は就職先が見つからないんだ。
サービス業をしたいんだけど、知ってるお店紹介してくんないかな?」
なんだそんなことか。。。
僕はそのときのプロジェクトで新規オープンの準備をしてる店があったので、
そこを紹介しようと思った。
「明日、面接の段取りしといてあげるね」
「ホントッ!?ありがとう!」よほどうれしいのか、
彼女はやっと働けると何度も何度もつぶやいていた。
正直僕は(電話で言えよ。それくらい)って、
心の中で「姉さん」に突っ込みを入れた。
お店はもう、閉店時間を迎えていたので、
それから少し店長達も交えて飲んでから、彼女を送って行った。
213 : ◆HPyFqJcNpk :2005/11/04(金) 22:24:38 ID:AEdqIgbm
「姉さん」は僕の紹介で仕事が決まった。
ちょっと高級なこれまたイタリアンのお店。
そこのウエイターとして働くことになった。
オープン準備は僕もつきっきり。この現場はオープンまであと3ヶ月の時期だった。
彼女はもともとの性格もあり、すぐに皆の人気者。
ここでも「姉さん」は健在だった。
「姉さん」が働いて3日目。この日もいつもどおりの仕事の流れ。
僕は確か、シェフと一緒に食材業者の選定をしていた。
彼女はホール備品の選定を店長と行っていた。
確かテーブルクロスを決めていたはずだった。
僕はシェフとの打合せを一区切り付け、ホール備品チームへ合流した。
(あれ?「姉さん」の姿がないぞ?)
そこにいるはずの「姉さん」の姿がない。トイレか?
店長に彼女の居所を聞くと、体調が悪くて裏で休んでいるという。
急に仕事をするようになったから、疲れがたまったんだろうと思って、
彼女のいるバックスペースに様子を見に行った。
218 : ◆HPyFqJcNpk :2005/11/04(金) 22:36:29 ID:AEdqIgbm
扉を開けるとそこには、テーブルに顔を埋めている彼女の姿があった。
さっきの嫌な感じが僕の中で爆発しそうになる。
彼女に近づき、そっと肩に手をやる。
「大丈夫か?」
彼女は言葉を発することなくうなずいた。
多分それが精一杯の答え方だったのだろう。
そのくらい憔悴しきった様子だった。
彼女の脇にはなぜか飲みかけのペットボトルのコーラが横たわっている。
それが、彼女の腕にかかっていて、邪魔そうだったから少し離してあげた。
気の抜けてそうなぬるいコーラだった。
219 : ◆HPyFqJcNpk :2005/11/04(金) 22:41:15 ID:AEdqIgbm
10分位その場にいたような感じだが、多分1分もいなかったろう。
その場で立ち尽くす僕はすぐに悟った。
僕にできることは多分無い。そばにいてあげるような関係でもないと。
「気分が良くなるまで休んでな」
あまり話しかけるのも辛そうだし、そう言ってその場を離れようとしたら、
搾り出すように彼女が声を発した。
220 : ◆HPyFqJcNpk :2005/11/04(金) 22:46:19 ID:AEdqIgbm
「ちょっと待って」
そして、彼女に顔を少し近づけてみると彼女が続けて言った。
「…の鞄…ピンク…ポーチが…、取って…?」
聞き取れる言葉は多分こんなものだったと思う。
でもすぐに僕は彼女の鞄を探しに行った。
すぐにわかった。いつもの鞄だ。
そしてその中にあったのは「姉さん」がいつもトイレに行くときに持っていく
"ピンクの化粧ポーチ"。
「これだ」
僕はすぐそれを取り出して、まずは中身を開けた。
そのときは罪悪感など全く無かった。
221 :名無しさんの初恋 :2005/11/04(金) 22:51:08 ID:Ihk+MF+U
急展開の予感・・・ワクワク
222 : ◆HPyFqJcNpk :2005/11/04(金) 22:51:19 ID:AEdqIgbm
女性の持ち物にもかかわらず、当たり前のように中身を見た。
するとそこに灰色のペンケースのようなものと薬やらガーゼやら。
そして小さな医療品を入れているような透明の袋。
そこには血のついたガーゼや使用後の注射針のようなものが入っていた。
224 : ◆HPyFqJcNpk :2005/11/04(金) 22:56:05 ID:AEdqIgbm
お気づきの方もいると思うが、糖尿病の患者が使うインスリンの注射器だった。
そう、彼女は糖尿病を患っていた。
僕は情のようなものが現れてきたことに気付いた。
多分彼女の全てを知ってしまったからなんだと思う。
彼女にポーチを渡しに戻ると、彼女はテーブルに顔を埋めたまま、
「そこに置いといて」
彼女はそういって、僕にお役御免を告げた。
225 :方法 ◆ENACzVnNLo :2005/11/04(金) 22:57:31 ID:LYdQWJaw
>>224
シャブかとw
226 :名無しさんの初恋 :2005/11/04(金) 23:02:45 ID:6c7K5dnn
>>225
俺もWWW
227 : ◆HPyFqJcNpk :2005/11/04(金) 23:02:09 ID:AEdqIgbm
それから、30分くらい経ってからもう一度彼女の様子を見に行った。
彼女はだいぶ良くなってきたのか、椅子の背もたれに体を預けて起き上がっていた。
「大丈夫か?」
「うん、だいぶ良くなった。ごめんね。すぐ仕事に戻るから」
「いや、大丈夫だ。今日はもう帰った方がいいんじゃないか?」
「嫌!皆に迷惑かけるし、心配かけたくない!」
随分とはっきりと強い口調で彼女は言った。
僕は注射器のことや病気のことを詳しく聞きたかったが、
彼女の強い意志に圧倒されて、喉まで出ていた言葉を飲み込んだ。
228 : ◆HPyFqJcNpk :2005/11/04(金) 23:03:33 ID:AEdqIgbm
>>225-226
ちょwwwおまいらwwww
229 :名無しさんの初恋 :2005/11/04(金) 23:06:54 ID:6c7K5dnn
>>228
悪く思わないでくれ。
悪いのは時代だWWW
230 : ◆HPyFqJcNpk :2005/11/04(金) 23:07:02 ID:AEdqIgbm
その日は、一応彼女も時間まで働いて帰ることになった。
僕は彼女よりも少し長く働いた。
自分の仕事を終えて帰りの車に乗り込むと、すぐに彼女の携帯を鳴らした。
「大丈夫か?」 なんかこの言葉ばっかりだな。。。orz
「うん今日はゴメン。今帰り?ちょっと家寄ってくれない?
色々話しなきゃいけないし」
僕はこうして、彼女の病気の全てを知ることとなった。。
231 :名無しさんの初恋 :2005/11/04(金) 23:08:03 ID:nf/dy/lp
糖尿だったのか…
謎は全て解けた!
今後の展開に期待!
233 : ◆HPyFqJcNpk :2005/11/04(金) 23:13:18 ID:AEdqIgbm
待ち合わせたファミレスで彼女は自分の病気について、淡々と話をした。
彼女はT型の糖尿といって、
ある日突然インスリンが分泌されなくなるタイプだ。子供でもかかるらしい。
糖尿の中でも5%くらいの人間しかいないそうだ。
良く聞く糖尿というのはU型糖尿と言って生活習慣病の一種と言われている。
彼女の糖尿はそれとは違い、インスリン注射が必ず必要で、
それが無くては生きていけないという。原因もわからないものらしい。
糖尿というと不摂生のイメージがあるが、
それとは違うことを必死に僕に説明していた。
糖尿という色目で見られることがすごく嫌で、
それを説明することが、すごくストレスになること。
なぜ自分だけが、治る事のない病に犯されてしまったのか?
甘い物も一杯食べたいとか、糖尿を告げれば就職できず、
隠せばバレてクビになってしまうとか。
あと、旅行もいけないとか、車も運転できないとか、
離婚の原因もそれだったとか…
もう、ここには書ききれないくらいの事を延々と彼女は話した。
ちょっと、糖尿病の方には申し訳ない表現があるかもしれないから、
何かあったらレスしてくれ。悪気は全く無いので。。。
235 : ◆HPyFqJcNpk :2005/11/04(金) 23:17:58 ID:AEdqIgbm
僕にはただ聞くことしかできなかった。初めて知ったT型糖尿病。
みんなも思った思うが、僕も実は不摂生だと思っていたから、
申し訳なくなってすごく心臓が痛かった。
それでも彼女はそんな僕の気持ちを無視するかのように話し続けた。
236 : ◆HPyFqJcNpk :2005/11/04(金) 23:21:19 ID:AEdqIgbm
彼女は病気が発覚して美容師を辞めたらしい。
もちろん入院したことも原因だが、
先生からもサービス業は難しいって言われたらしい。
デスクワークのバイトも一時、したらしいのだが、
とにかく人と接することが好きで仕事に活力を見出せなかったようだ。
将来は自分でお店をつくりたいという夢もある。
だから、リスクを覚悟で僕に相談をしてきたという。
そして最後に今の仕事だけは辞めたくないから協力して欲しいと言われた。
239 : ◆HPyFqJcNpk :2005/11/04(金) 23:28:15 ID:AEdqIgbm
僕はその日ほとんど眠ることは無かったと思う。
今までの「姉さん」とのやり取りをずっと思い返していた。
僕がほほえましく見ていた、食前のトイレはインスリンを打っていた。
そういえば、デザートを食べなかったとき「甘いものは無理」って言ったっけ。
僕が勝手に嫌いだと思い込んでいたのは彼女の言葉通り、「無理」だったんだ。
コーラも血糖値を上げるために飲んでいたものだった。
良く食べたり良く飲んだりしてたのは、
病気持ちという偏見をもたれないための演出だったらしい。
だから、体の心配をすると少しムキになっていたと。
242 :名無しさんの初恋 :2005/11/04(金) 23:31:36 ID:aZzNwSqr
俺のじーちゃん、糖尿病で亡くなったんだ…
やべ、泣きそ
話の腰折ってごめん
243 :名無しさんの初恋 :2005/11/04(金) 23:32:07 ID:6c7K5dnn
ううう、なんかお姉さんほっとけないなぁ。
なんかしてあげたくなるよなぁ。
なんもできないけど。
249 :名無しさんの初恋 :2005/11/04(金) 23:48:07 ID:6c7K5dnn
なんか切ないよ。
250 :名無しさんの初恋 :2005/11/04(金) 23:50:49 ID:m53xpFR1
俺も糖尿→不摂生って思ってしまってた…スマソ
昔、入院した時そういう人がいたの思い出したよ
251 :名無しさんの初恋 :2005/11/04(金) 23:53:47 ID:6c7K5dnn
>>250
それは恋につながったか?
252 :名無しさんの初恋 :2005/11/04(金) 23:56:27 ID:m53xpFR1
>>251
そいつは男だったよ…
255 :名無しさんの初恋 :2005/11/05(土) 00:12:10 ID:rNQZYkNU
>>250-252
何だよこの流れ…w
1型…か。ググってみたけど、
昔テレビで見た『インスリン欠損症』と似てるね…。同じなのかな…?
注射が手放せないって辛いよね…。
それに1年前…。ハッピーエンドは…。
232 :名無しさんの初恋 :2005/11/04(金) 23:10:58 ID:m53xpFR1
20代でもなるんだね
俺も気をつけよう…
234 :名無しさんの初恋 :2005/11/04(金) 23:15:05 ID:6c7K5dnn
俺の職場にも糖尿いるよ。
その人は50代だけど、足の親指がなくなってて、目もすごい悪いよ。
気ぃつけなあかんなぁ。
253 : ◆HPyFqJcNpk :2005/11/05(土) 00:09:09 ID:kOL2XQQ/
風呂上がったw風呂入って目がさえちまったよwww
せっかっくだから、少し皆にレスでもしてから寝るわ。
>>234
足の指がなくなるのは「壊死」って奴だ。目は網膜症。
すべて糖尿からくる合併症だ。
257 : ◆HPyFqJcNpk :2005/11/05(土) 00:17:20 ID:kOL2XQQ/
>>255
「インスリン欠損症」ってのは初めて聞いた。。。
結果は。。。
でも、ここまで書いたら、
漏 れの知り合い見たら、ぜってーバレるwwwww
258 :名無しさんの初恋 :2005/11/05(土) 00:25:31 ID:rNQZYkNU
でしょうねw
かなり限定される仕事ッポイし…w
続き、待ってます。落ち着いて、自分のペースで書いていって下さい。
しかし伏線がうまいな…。ハリポタ並だ…。
259 : ◆HPyFqJcNpk :2005/11/05(土) 00:32:25 ID:kOL2XQQ/
>>258dクス
伏線はね、彼女との付き合いの中で、
漏れ自信が後で気付くこと多かったからね。
だから、それをそのまま書こうと思ってるw
じゃあ、色々思い出しながら、今日は寝ます。
明日は、夕方用事があるので、昼位に一度来ます。
ノシ
268 : ◆HPyFqJcNpk :2005/11/05(土) 13:05:51 ID:kOL2XQQ/
次の日僕は職場で店長とシェフに彼女の話をした。
彼女は"T型"の糖尿で、あんな症状やこんな症状があると。
でも彼女、勤労意欲は高いし、なんとか協力してくれと。
まるで前日の彼女が乗り移ったかのように話をした。
もちろん自分が紹介者だってこともあったわけだが。
しかし、僕の心配をよそにすでに彼女の人柄は皆の中に溶け込んでいたようだ。
「大丈夫ですよ。星さん。それがわかっていれば、みんなで協力できますよ」
ああ、なんていい人たちなんだ。この店は絶対成功するぞ。
美味しい料理とアットホームなスタッフがいれば、
お店なんかなんとかなるもんだ。
とプロデュースをする人間らしからぬことを考えてしまった。
269 : ◆HPyFqJcNpk :2005/11/05(土) 13:09:29 ID:kOL2XQQ/
それから、彼女はたまに来る低血糖で人より休憩が多かったが、
みなの協力で楽しく働けるようになっていた。
そして全てが順風満帆に過していたある日、
僕がなによりも嬉しかった言葉を「姉さん」からもらった。
「ホッシーに出会えて良かったよw」
270 : ◆HPyFqJcNpk :2005/11/05(土) 13:19:05 ID:kOL2XQQ/
僕はたまに「姉さん」と食事をするようになっていた。
食事って言っても、帰りにラー麺食べたり、ファミレス行ったりって感じだけど。
でも、「姉さん」といるのが楽しかった。
しかし僕には今カノがいるわけで、罪悪感は多少あったが、
僕には仕事と「姉さん」といる時間が充実していて、
今カノを忘れることの方が多くなっていた。
当然のように今カノの「みっちゃん」から、連絡がが来る。
271 : ◆HPyFqJcNpk :2005/11/05(土) 13:28:04 ID:kOL2XQQ/
「最近連絡が減ったけど、どうしたの?」
当たり前の連絡だ。僕は100%仕事のせいにした。
「姉さん」のことは当然言えない。
付き合ってるわけでもないし。
でも、そのみっちゃんの言葉で彼女に対して申し訳ないという気持ちと同じくらい、
「姉さん」のことが好きだという気持ちに気付いた。
突然、「姉さん」を意識してしまった。
漏れって悪い男だ。。。
決してみっちゃんのことを嫌いになったわけではないのだが、
もう「姉さん」のことが頭から離れない。
みっちゃんに言い訳を一通り終えるとしばし沈黙が続く。
するとみっちゃんの方が先に言ってきた。
「今から会いたい」と。
ここでまた、みっちゃんへの申し訳ない気持ちが復活。
ああ、俺ってヘタレだ。。。
272 : ◆HPyFqJcNpk :2005/11/05(土) 13:33:12 ID:kOL2XQQ/
彼女は待ち合わせをしたファミレスにいた。
(うっ、やっぱりかわいい。。。)
彼女とは1年近くの付き合いになる。
僕が一目惚れした相手だ。
「姉さん」も可愛いタイプだが、この子は別格だ。
大きな瞳で見つめられると
いつも僕は言うことを聞いてあげるしかなかった。
そんな魔力をもった瞳。
今日もこの魔性の瞳は健在だ。
273 : ◆HPyFqJcNpk :2005/11/05(土) 13:36:03 ID:kOL2XQQ/
着席速攻僕が放った言葉は
「ゴメン!」
「どうして誤るの?仕事だったんなら仕方ないじゃない?」いつもの瞳。
(うう・・・)
「仕事だったんなら仕方ないじゃない?」いつもの瞳。
(うう・・・)
「どうして黙っちゃうの?」ちょと困った感じの瞳。これは反則だ。
(うう・・・)
「ゆう君!なんとか言ってよ!」あれ?怒ってる?
「コーヒー頼んでいい?」って、俺あほか。。。
274 : ◆HPyFqJcNpk :2005/11/05(土) 13:43:21 ID:kOL2XQQ/
注文したコーヒーがテーブルに来るのを待たずに彼女の攻撃が再開。
「なんかあるんでしょ?見てればわかるよ。
仕事なんて言い訳でしょ?私のことが嫌いになった?
飽きた?私の嫌なとこがあったら言って!
うざい?面倒臭くなった?」
(どれも違うんだけど。。。)
「なんかいつもそうだよね。自分ことあまり話そうとしないし、
都合悪いとすぐ黙る。ねえ、なんで私たち付き合ってるの?
最近あまり会えないし、電話もない。。。。。。。」
一連の流れは多分こんな感じだったと思う。
275 : ◆HPyFqJcNpk :2005/11/05(土) 13:52:56 ID:kOL2XQQ/
注文したコーヒーが来ると僕はいつもどおりダイエットシュガーを入れて、
いつもより長くコーヒーをかき回していた。
「もう充分砂糖溶けてると思うんですけど!」
(うん、みっちゃん、いい突込みだよ)
漏れはハッとして、その手を止めた。何かしゃべんなきゃ。。。
僕は少し考えてから言った。
「嫌いとかじゃないんだ。。。」
しかし、この言葉は漏れの意思とは関係ない意思を伝えていた。
「そーゆーことね。。。はっきり言えば!?嫌いになったって!」
さすがに水をかけられたりはしなかったが、
実は内心、水かけられるんじゃないかとドキドキしてたのは忘れられない。
そして、みっちゃんは席を立ち上がりはき捨てるように言った。
「絶対別れないからね!」
ええええええええっっっっっっっ!!!!!???????
別れるって言ってくれる流れだったろう?
別れないのになんで立ち去っていくわけぇ!?
意味もわからず、僕は夜デニセットを注文した。多分w
283 : ◆HPyFqJcNpk :2005/11/05(土) 14:27:27 ID:kOL2XQQ/
みっちゃんとの話し合いから、数週間が過ぎたと思う。
内心連絡しなきゃと思いつつ、僕の指はいっこうに彼女の番号を押そうとしない。
俺の親指ヘタレと、指のせいにする始末。
でも、本当はやっぱり「姉さん」と仕事で充実してたんだ。
だからといって「姉さん」との関係が進展するわけではないのだが。。。
職場でも努めて意識をしないようにしていたし。
ただ、仕事も忙しくなり、
「姉さん」と食事をすることが少しづつ減りはじめていたことも
僕の理性を守ってくれていた。
「姉さん」は相変わらず低血糖と戦っていたし、
それを見るたびすごく切なくなって、
色恋話は持ち出せそうに無いなんて勝手に思い込んでいた。
俺の親指がヘタレな以外は全てがいつもどおり流れていたと思っていた。
だけど、僕は少しなめていた。「姉さん」の糖尿病を。。。
284 : ◆HPyFqJcNpk :2005/11/05(土) 14:32:01 ID:kOL2XQQ/
オープンまであと1ヵ月を切ったある土曜日だった。
僕はこの時期になるとスタッフのトレーニングをかねて、
ケータリングの仕事を一本取ってくる。
とあるパーティ会場の料理とサービス請け負うのである。
料理の仕込みはほとんどやってから行くのだが、
サービスをするスタッフ達にとっては良いトレーニングになる。
もともとそこの会場にいる熟練スタッフ達の補佐をしながら、
体を慣らしてもらうんだ。
もちろん、未経験者にとっては辛い時間になる。
ミスをすれば熟練スタッフから罵声も飛ぶ。
285 : ◆HPyFqJcNpk :2005/11/05(土) 14:35:07 ID:kOL2XQQ/
少し心配だったが、今回は「姉さん」も参加した。
事前に彼女にはやめた方が良いのでは?と言ったのだが、
思いっきり怒られた。
「3〜4時間位自分の体コントロールできるっつの!」
それが彼女の答えだった。
僕はいつ彼女が低血糖がおきても良いように、
ポケットに飴玉を忍ばせていた。
もちろんコーラを片手に。
286 : ◆HPyFqJcNpk :2005/11/05(土) 14:42:19 ID:kOL2XQQ/
仕事は順調に進んでいた。
僕は隅のほうから店長と2人で皆のことを観察していた。
誰はスムーズに動けてるとか、誰はイマイチだとか。
そんなやりとりをしていたが、僕は「姉さん」ばかり追いかけていた。
多分半分以上は見ていたと思う。
いつ倒れたりしないかドキドキしていた。
「姉さん」は僕の心配をよそにすごく順調に動いていた。
しかし誰でもそうだが、一瞬気を抜く瞬間がある。
動きっぱなしだから、当然だなw
そして僕は「姉さん」が一息つく瞬間を見てはビクビクしていた。
過剰に反応していた。
もう、僕はまるで子供のお遊戯会を見ている親のような心境だ。
経験したことないけどwww
287 : ◆HPyFqJcNpk :2005/11/05(土) 14:50:05 ID:kOL2XQQ/
多分21時を回った頃、パーティは終焉を迎えた。
「姉さん」は、やりきった。
僕は最後のお客さんがはけると同時に「姉さん」のもとに駆け寄った。
「大丈夫か?」
彼女はいたずらが成功したような子が見せる笑顔で親指を立てた。
僕はそれを、見て安心した。
「頑張ったな♪」
僕は持っていた飴玉を差し出した。
彼女は、まだ片付けが終わってないからといわんばかりに
飴だけを奪い取るようにして、仕事に戻った。
本当は気付かなくてはいけなかったんだ。
彼女が言葉を発しなかったことに。。。
365 : ◆HPyFqJcNpk :2005/11/05(土) 22:33:44 ID:kOL2XQQ/
多分22時を回った頃だったと思う。
店長と今日のスタッフの動きを再確認しているときだった。
「救急車呼んでーーーー!」
僕はすぐにわかった。
彼女が倒れたんだと。
立ち上がったときに倒れた椅子を直すこともなく、ざわついている方へ走った。
「ビニール袋持って来い!」
彼女を抱えてる奴が叫んでる。
良く見ると彼女が目を閉じている。
「離せ!このやろう!何するつもりだ!」
僕は彼女を奪い取った。
366 : ◆HPyFqJcNpk :2005/11/05(土) 22:37:38 ID:kOL2XQQ/
僕は彼女を奪い取った。
彼女のことは俺が一番知っている。
どこから湧いた自信かわからないが、僕はそう思ったんだ。
奪い取られた彼が言う。
「過呼吸だよ。ビニール袋持ってくればすぐに治るって!」
俺は奴を睨み付けて言った。
「ふざけんな!何も知らないくせにでしゃばんな!」
「コーラでもオレンジジュースでもなんでもいいから甘い飲みモン持って来い!
それと救救急車は呼ぶな!」
誰に言ったわけでもない。
ここにいる全員に向けて出せるだけの大声で怒鳴った。
そう助けを求めておきながらこう付け加えた。
「見せモンじゃねーんだ!仕事に戻れ!」
368 : ◆HPyFqJcNpk :2005/11/05(土) 22:40:08 ID:kOL2XQQ/
彼女の耳元で話しかける。
「大丈夫か?」
答えがない。良く見ると口から泡?よだれ?を吹いてる。多分泡?
(落ち着け俺!)
何度もそういい聞かせていたが、どうにもならない。
コーラ到着。
ダメだ。意識が無い。
ストロー要求。
これもダメ。当たり前か!
どうすることもできなくてただ僕は彼女を抱えて
答えのない問いかけを続けていた。
すると意識が戻り始める。
369 : ◆HPyFqJcNpk :2005/11/05(土) 22:44:29 ID:kOL2XQQ/
「・・・・・・・い・・・」
なんか言ってる!
「・・・・車・・・嫌・・・」
「それは大丈夫だ!」
僕にはすぐにわかった。
救急車を呼んで欲しくないんだ。
以前病気のカミングアウトをされたとき、言っていた。
救急車だけは嫌だと。
素人は低血糖くらいですぐに救急車を呼ぶから、大騒ぎになって困ると。
血糖値さえ戻れば、すぐに落ち着くと言っていたんだ。
370 : ◆HPyFqJcNpk :2005/11/05(土) 22:46:16 ID:kOL2XQQ/
「コーラ飲めるか?!」
彼女はうなづいた。
コップを少しだけ傾けて
ちょっとづつ口に入れるつもりだったが、
見事に口からこぼれた。
(入れすぎだ俺!)
371 : ◆HPyFqJcNpk :2005/11/05(土) 22:48:57 ID:kOL2XQQ/
ストローにコーラを溜めて
親指で上部を押さえながら少しづつ、流し込む方法を考えた。
ずばり的中。
彼女の喉が大きな音を立てて、コーラを飲み込んだ。
「星さん!星さん!救急車きましたよ!」
(はぁ?何でだ?)
372 :逆転スラムダンク高校:2005/11/05(土) 22:52:30 ID:X/IBjLWN
やべマジ泣き。姉さん本当にいい子だ。星、おまいもいい子や。
なんで神様はこんないい子達に意地悪するのかなぁ
373 : ◆HPyFqJcNpk :2005/11/05(土) 22:53:09 ID:kOL2XQQ/
もうすでに後ろに救急隊員が近づいてきている。
誰かが、すぐに呼びやがったんだ。
もう仕方ない。後は救急隊員に任せよう。
本当は救急車が来てくれて助かったんだけど。
「彼女の荷物ありますか?」
救急隊の問いかけにスタッフの1人が慌ててとりにいく。
「誰か同乗できますか?」
なぜか一瞬僕は尻込みした。
さっきまであんなにでしゃばってたのに、急に怖くなった。
僕が付き添っていくべきなのかどうか。。。
374 : ◆HPyFqJcNpk :2005/11/05(土) 22:59:12 ID:kOL2XQQ/
「星さん!行ってください!」
店長に背中を押されて我に帰った。
この状況下で付き添うのは僕しかいないと。
彼女の荷物を持って同乗する。
彼女の荷物の中から掛かりつけの病院の診察券を発見。
その病院へ急行することになった。
車内のやり取りはあまり覚えていない。
病院までは20分くらいだったと思う。
はっきりと覚えていたことは救急隊の1人が
僕にハンカチともガーゼともいえない白い布を手渡してきたことだった。
どうやら僕はいつのまにか涙を流していた模様です。
375 : ◆HPyFqJcNpk :2005/11/05(土) 23:02:00 ID:kOL2XQQ/
>>372
やめてくれ;
俺おまいのレスに泣いちゃたじゃんか。
376 :逆転スラムダンク高校:2005/11/05(土) 23:06:38 ID:X/IBjLWN
すまん(TДT)だけどなぁ・・・悔しいなぁと
377 : ◆HPyFqJcNpk :2005/11/05(土) 23:06:21 ID:kOL2XQQ/
病院に到着。
僕は普段病院なんて無縁な健康優良児!
何をどうして良いのかわからず彼女のそばについて歩いた。
「お連れ様は待合室でお待ちください!」
ちょっと甲高い声の年増の看護婦ににらまれた。
(待合室ってどこだよ?)
378 : ◆HPyFqJcNpk :2005/11/05(土) 23:11:36 ID:kOL2XQQ/
別の看護婦に色々質問された。
倒れた時の状況や彼女のこと、僕のこと、色々。
まるで尋問。答えに困ることもあった。
僕と彼女の関係を聞かれたときはめんどくさくなって
「彼氏です」って言っちゃった。
僕の嘘を見破るかのように、待合室にいた中近東系の外人カップルと
売れないスナックのママみたいなおばちゃんが、僕を見てニヤついてた。
379 : ◆HPyFqJcNpk :2005/11/05(土) 23:19:10 ID:kOL2XQQ/
(ここは冷静になれ俺!)
。。。無理!ソファーに座っても2秒で立ち上がる。
うろうろ歩き回る。
中の様子はうかがい知ることもできず、何もすることがない。
ああ、俺って無力。
僕が落ち着かなかったわけは二つ。
今回の仕事を彼女にさせてしまったこと。
無理してでも止めていれば結果は違ったはず。
それともう一つは彼女の様子に気付いてやれなかったこと。
飴玉を渡したときにはまだ、何とかできたはず。
とにかく僕は、自分の責任ばかり考えていた。
これで彼女に何かあったら、僕はどうすればいいんだろう。。。
380 : ◆HPyFqJcNpk :2005/11/05(土) 23:21:21 ID:kOL2XQQ/
ちょっとドキドキしちゃって、ダメだ。。。orz
一服させてくれ。
390 : ◆HPyFqJcNpk :2005/11/05(土) 23:43:45 ID:kOL2XQQ/
何分位経ったかわからないけど、突然僕の携帯が鳴った。
店長からだ。
「星さん、浜口(彼女の偽名)はどうですか?」
「うん、大丈夫だと思うよ」
努めて冷静に僕は言った。本当は何もわからなかったけど。
「星さん、ところで鞄と車どうします?」
すっかり忘れていた。彼女の鞄のことしか頭に無かった。
運よく車のキーは鞄の中だし、
僕は店長に車と鞄を病院まで持ってきてもらうよう頼んだ。
391 : ◆HPyFqJcNpk :2005/11/05(土) 23:49:09 ID:kOL2XQQ/
30分くらいして店長は到着。
病院の外でタバコを吸いながらしばし、店長と雑談。
もちろん彼女の話だ。5分位話をして、店長にはお引取りを願った。
明日も早いし、迷惑をかけたくなかったから。
店長は「じゃあ帰りますね」と言って帰ろうとしたが、
1歩も踏み出すこと無く、こう言った
「星さん。浜口は彼女ですか?」
僕はドキッとしたがすぐに答えることができた。
「違うって!www」
394 : ◆HPyFqJcNpk :2005/11/05(土) 23:54:01 ID:kOL2XQQ/
多分かなり表情は強張っていたと思う。
店長は僕の動揺で全てを理解したのかこう言って帰っていった。
「好きなら苦労すると思いますよ、僕は。。。じゃあお先に帰ります。」
ぬおぉぉぉぉぉ!!!店長お前カッコ良すぎるぜ!さすが、一流のサービスマン!
なんて突っ込みを言えるはずも無く、
店長の言葉の意味を考えながら、
店長がタクシーを捕まえるとこを眺めていた。
395 :名無しさんの初恋 :2005/11/05(土) 23:57:29 ID:pZNgWcTZ
いやいやおまいさんも十分カコイイよ
そしてスラムダンクさんもなんだかカコイイよ
396 : ◆HPyFqJcNpk :2005/11/05(土) 23:57:55 ID:kOL2XQQ/
長い!一体中では何が行われているんだ?
彼女の様態がものすごく不安になり、また、治療室の前を行ったりきたり。
冷静に考えるとテレビの中ではよく見かけるシーンだが、
実際にやってしまうもんだと、今になってみると笑えるなww
その時、また携帯が鳴った。
397 : ◆HPyFqJcNpk :2005/11/06(日) 00:01:24 ID:kOL2XQQ/
今度は誰かと思い液晶を見ると
!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!
みっちゃんだ!?
!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!
なんでこんなときに?急いで外に出る。
「もしもし」
出てしまった!
>>395ありがdw
399 : ◆HPyFqJcNpk :2005/11/06(日) 00:06:28 ID:/kAqJmX+
彼女の声。
「今大丈夫?」
(大丈夫じゃありませんって!)
「どうしたの?」
「この間のことなんだけど、もう忘れちゃった?」
(忘れるわけありませんって!毎日親指と格闘してましたよ!)
「うん、覚えてるよ。ホントゴメンね。。。」
「あれ?今どこ?」
「ゴメン。今病院なんだ。。。」
と言って、ここまでの経緯を話した。
「姉さん」に気があるということ以外は全部。
彼女はすぐに電話を切ってくれた。
なんで今日電話してくんだ?!
なんてちょっとイラつきながら、また、静寂の時間が訪れる。
400 :名無しさんの初恋 :2005/11/06(日) 00:09:18 ID:2nMhK7+k
みっちゃん・・・(T_T)
403 :逆転スラムダンク高校:2005/11/06(日) 00:12:36 ID:xt8iNE04
みっちゃん・・・(TДT)
402 : ◆HPyFqJcNpk :2005/11/06(日) 00:10:32 ID:/kAqJmX+
「星さん。もう大丈夫ですよ。どうぞ、中に入ってください。」
あの甲高い声のおばはん看護婦に呼ばれて中に入ることができたのは、
もう次の日付をとっくに越えてからだった。
不安と焦りが交錯する複雑な気持ちで彼女のベットに近づいた。
405 : ◆HPyFqJcNpk :2005/11/06(日) 00:17:01 ID:/kAqJmX+
憔悴仕切った様子で瞳を閉じている彼女がいる。
僕の足音に気付いたのか、彼女が目を開ける。
「大丈夫か?」
大きく見開くことの無い彼女の目がうっすらと開き、
僕を見つけると彼女は少しだけ微笑んで、
すごくか細い声で予想だにしない返事を返してきた。
「その『大丈夫か?』って、好き♪」
確かに今まで、僕はこの言葉を何度投げ掛けてきただろう。
そのときは、その言葉の意味が僕のボキャブラリーの無さを
象徴しているようで少し凹んだけど、
安心したのか僕の目からうっすら涙が出来てきた。
407 :名無しさんの初恋 :2005/11/06(日) 00:20:39 ID:2nMhK7+k
凸凸凸凸凸 : : ::: :::: ::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::
┳┳┳┳┳ : : : :: ::: :: Λ_Λ . . . .: : : ::: : ::
┻┻┻┻┻ ::::::::: :: :/:彡ミ゛ヽ;)ー、 .アネゴ・・・星・・・俺も頑張ろう
|凸凸凸∧_∧::::::::::::::::/ :::/。 ヽ、ヽ、 ::i . .:: :.: ::
,/:::::::::::::::/⌒ ̄⌒ヽ)'ヽ:::::/ :::/・ ゚。ヽ ヽ ::l . :. :. .:
 ̄ ̄ ̄/;;;;;;;;;:: ::::ヽ;; |(_,ノ  ̄ ̄ ̄ヽ、_ノ ̄
::::::::::::::::|;;;;;;;;;:: ノヽ__ノ: : :::::::: :: :: :
 ̄ ̄ ̄l;;;;;;::: / ̄ ̄みっちゃん ̄ ̄
409 : ◆HPyFqJcNpk :2005/11/06(日) 00:22:44 ID:/kAqJmX+
僕は彼女の手を握り締めて、
しゃっくりともオエツともいえるような声で、
もう一度「大丈夫か?」と言った。
情けないけど本当はこんな感じだった
「うぅ。。だいじょっうぶっか?。。うぅ」
涙を一生懸命こらえようとした。
彼女はいつもの「姉さん」ぽい笑い方を少しだけしてくれて答えてくれた。
「大丈夫だよ」
411 : ◆HPyFqJcNpk :2005/11/06(日) 00:24:57 ID:/kAqJmX+
ここまでが、病院内の出来事です。
ちょっと、冷静になります。。。
435 : ◆HPyFqJcNpk :2005/11/06(日) 01:10:45 ID:/kAqJmX+
みんな ありがとう。
一言だけ言わせてくれ。
ネタバレさせてもらうと、ホントは漏れこの恋愛はいつか文章にしたいと
思っていたんだ。
文章だってすごく考えたものにしてる。
頭の中には当然構成もあるし、
着地点も見つかってる。
糖尿の人にも見てもらいたかったってのもあるし、
いつか姉さんにも見せたいとも思ってた。
でもね、病気の描写をするたびに、
それは僕の記憶でしかないくて、
多分、それはあまり間違えていないと思うけど、
少し、罪悪感みたいなものが出てきちゃったんだ。。。
それでも、ここに書く権利ってあるかな。。。
438 :名無しさんの初恋 :2005/11/06(日) 01:22:19 ID:fMuoqw/3
書かないより多少間違えてても書いたほうがいいと思う。
不摂生のイメージを持ってる人のが確実に多いだろうし、
書いたことで自分なりに興味持って調べる人も居るだろうし。
それに後々詳しい人出てくるかも。
でも罪悪感感じちゃってどうしようもないならなら無理して書く必要ないよね。
気になってしょうがないけどw
439 :名無しさんの初恋 :2005/11/06(日) 01:24:47 ID:wlMwTUvI
>>435
書く権利は全体にあると思います。
だってそれは星さんが真剣に考えて悩んで想った事。
罪悪感を感じてしまうこともあるだろうけど、
たとえ病気の描写について間違ってるところやおかしな表現があったとしても
それに対して揚げ足とったり悪いように受けとる人はここにはいないと思いますよ。
まぁ間違いに訂正なんかは必要だろうけど・・・
>>436
ほんとにここはいいところ。
僕もみんな好きです。
ほんとにありがとう。
440 :名無しさんの初恋 :2005/11/06(日) 01:25:39 ID:0godeHCn
見てもらいたいなら、書けばいいと思う。
姉さんの病気を心配してるのは、十分私達に伝わってるよ。
もちろん、姉さんにも伝わるとおもう。
自分も病気してるけど、病気は本人にしかわからない辛さがある。
でもね、私も星さんに心配してもらいたいなって思いました。
きっと姉さんも、病気してる人も、わかってくれるって思うのは私だけ??
443 : ◆HPyFqJcNpk :2005/11/06(日) 01:28:29 ID:/kAqJmX+
ちょ。。。おまいら。。。
マジで涙で画面が見にくい。。。。
本当に、本当に、本当に、本当に
みんな、いいやつだ。
本当にみんなありがとう。
10位したら、再開します。
がんばるぞ!
436 :名無しさんの初恋 :2005/11/06(日) 01:15:39 ID:OpWCbPv0
最近この年になって(23)感じることがある。
世界中の人とは別々のところにいるけれど、みんな繋がってる気がしてならない。
出会わないのは偶然で、出会ったのは必然だと。
もちろん今ここにいるみんなも。
ありがとうな。
みんな大好きだよ。
445 :名無しさんの初恋 :2005/11/06(日) 01:33:19 ID:wlMwTUvI
>>436
おわっwすごい事書いてあった。
出会わないのは偶然で、出会うの必然
奇跡的に出会った二人〜〜なんかはよく聞くけど、
確かに今はこの逆の考えに禿同です。
ちょっと感動しました。
448 : ◆HPyFqJcNpk :2005/11/06(日) 01:40:57 ID:/kAqJmX+
次の日は日曜で僕と店長とシェフ以外は皆休み。
僕ら3人は昨日のことにほとんど触れることなく淡々と業務をこなしていた。
最初に軽く報告した程度。
実際は話す時間も無かったと言うのが正解かもしれない。
睡眠不足だったが、仕事をしながらも僕はずっと「姉さん」のことを考えていた。
昨晩は一晩入院すればいいのに、頑なに家に帰ると言い張って、
家に送り届けたのは明け方の4時ごろだったと思う。
僕は家の玄関まで送ったのだが、
おぼつかない足取りで彼女が家に入ったのを見てすごく心配になっていた。
450 :星 ◆HPyFqJcNpk :2005/11/06(日) 01:45:59 ID:/kAqJmX+
店長は気が利く人だから、僕の様子を見て何度か
「今日は早く帰ったほうがいいんじゃないですか」と気づかってくれていた。
(ほんと店長には頭が下がります)
今日もほとんどの業務が終了して、一服していた時だった。
店長とシェフが一緒に一服するという。
なんか、嫌な雰囲気。。。
案の定、店長が切り出してきた。
「疲れてるところ申し訳ないんですが、浜口の件を。。。」
大体予想はしていた。話の内容はこうだ。
451 :星 ◆HPyFqJcNpk :2005/11/06(日) 01:51:47 ID:/kAqJmX+
また、いつ彼女が倒れるかわからない。
僕はオープンしたらこの店から離れるけど、
現場は店長とシェフが切り盛りすることになる。
そうなったときに今日のようなことになったら、
さすがに面倒を見切れないというのだ。当たり前だ。
もちろん店長は言葉を選びながらだったけど。。。
僕には一方通行かもしれないが彼女に対する愛情がある。
しかし、店長もシェフもそんなものは持ち合わせちゃいない。
452 :星 ◆HPyFqJcNpk :2005/11/06(日) 01:54:47 ID:/kAqJmX+
そして店長は僕に決断を迫った。
「現場は僕らが仕切っていくんです。
厳しいようですが僕らが勝手に彼女をクビにすることもできるんです。
申し訳ないと思いますが、星さんもわかっていただけますよね?
僕らから言うべきではないと思ってます」
店長の言ってることは正論だ。僕には抵抗するネタは何もない。
「わかった。僕が彼女に伝えるよ」
453 :星 ◆HPyFqJcNpk :2005/11/06(日) 01:57:54 ID:/kAqJmX+
その日の帰り道、僕は彼女に電話することができなかった。
店長と話す前まではものすごく彼女の声が聞きたかったのに、
今となっては顔を合わせることすら辛い。
その日は誰とも話す気になれず、
携帯の電源を切ってベットにもぐりこんだ。
454 :名無しさんの初恋 :2005/11/06(日) 02:02:20 ID:0Fpqi+Nf
その気持ちわかる。・゚・(ノД`)・゚・。
455 :星 ◆HPyFqJcNpk :2005/11/06(日) 02:03:25 ID:/kAqJmX+
目覚めの悪い朝だった。
眠れなかったわけではない。むしろいつも以上に寝れたと思う。
だけど、爽やかな1日の始まりとは程遠い感じがした。
彼女に伝えなくてはならない使命もある。
彼女の元気な笑顔が見たいという欲望もある。
複雑な気持ちが交錯して、朝のヨーグルトも口に入らない。
457 :星 ◆HPyFqJcNpk :2005/11/06(日) 02:09:37 ID:/kAqJmX+
体と心を引きずるように仕事場に向かった。
まだ、彼女は来ていない。
店長とシェフはいつものように挨拶をしてくれた。
それが、余計プレッシャーに感じた。
平静を装い普段どおりの自分を演出して、彼女が来るのを待った。
僕らの出勤時間は10時だ。
5分前。まだ、彼女が来ない。
少し、僕は苛立ち始めていた。
460 :星 ◆HPyFqJcNpk :2005/11/06(日) 02:17:25 ID:/kAqJmX+
(遅刻かよ)そう考えた時、彼女は現れた。
ギリギリの時間だ。
僕と初めて出会ったときと同じように挨拶をして入ってきた。「ウィッス!」
元気な姿を見れて僕はほっとしたが、
その挨拶が(僕の気も知らないでって)感じに思えてしまって
「遅せぇ!もっと早く来い!」
それ言うのは僕の役目でもないのに
目も合わせないで言ってしまった。
461 :星 ◆HPyFqJcNpk :2005/11/06(日) 02:22:46 ID:/kAqJmX+
彼女は悪びれる様子も無く「すみません」とだけ言って、
皆の輪に入っていった。
オープンまであと少しだった。
もうほとんどお店は出来上がっている。
後は、何度もトレーニングを重ねたり、細かなセッティング作業をするだけだ。
しかし、本当に大変なのはここから。
オープンする期待と不安がスタッフを緊張させていた。
彼女はオープンスタッフの中ではもうすっかり古株だ。
まあ、他のスタッフとは数週間程度の違いしかないのだが。
アルバイトスタッフを仕切るのも彼女の役目だ。
463 :星 ◆HPyFqJcNpk :2005/11/06(日) 02:29:02 ID:/kAqJmX+
その日は彼女にはしっかりと働いてもらった。
途中で話すのは全体的な士気に関わると判断したんだ。
僕は何事もないように1日が終わってくれることだけを望んでいた。
日が沈みスタッフ達の業務が終わった。
皆一斉に帰る。その中に混ざっている彼女を捕まえて、
とても前向きとは思えない口調で言った。
「送るよ」
464 :星 ◆HPyFqJcNpk :2005/11/06(日) 02:33:08 ID:/kAqJmX+
僕らはいつものファミレスに向かった。
そこは彼女の自宅とは目と鼻の先だ。
車の中では二人ともあまり会話は無かったと思う。
彼女は少し怒っている感じだった。
でも僕は自分のことで手一杯で深く考える余裕が無かった。
ファミレスに到着すると彼女の怒った原因がわかる。
466 :星 ◆HPyFqJcNpk :2005/11/06(日) 02:37:19 ID:/kAqJmX+
「なんで今朝、皆の前であんな言い方したわけ?」
(だって、姉さんが遅く来るからだろ)
なんて心の中で言い訳をしたが、まあ、あんなことがあった次の日だ。
気遣ってあげるのが男の役目ってもんだ。
僕は黙ってしまった。伝えなきゃいけないことがあることに
少し気が動転してたかもしれないな。。。
468 :星 ◆HPyFqJcNpk :2005/11/06(日) 02:41:53 ID:/kAqJmX+
「なんか怒ってんのか?」
彼女の言葉に僕は話題を変えようと、
姉さんの気持ちも考えずに言ってしまった。
「仕事の件なんだけど。。。」
彼女は少し眉間にしわを寄せて続きを催促するように僕の目をじっと見つめた。
僕は彼女の目を見ることができずに話を始めた。
「やっぱり君にサービス業は無理だよ。。。」
そして昨日店長と話した内容を伝えた。
469 :星 ◆HPyFqJcNpk :2005/11/06(日) 02:48:39 ID:/kAqJmX+
彼女は僕の話なんて今まで何度も聞いたことがあるとでも言いたげに、
そっぽを向いていた。そして僕の話が終わるとこう言った。
「やっぱり病気持ちは、普通に働くことなんて無理なんだよな。。。」
多分僕が一番聞きたくない答えだった。
これを言われると僕が彼女といる意味すらなくなるような気がした。
彼女と初めて二人で食事をしたときを思い出す。
彼女が「やっと働ける」と嬉しそうに話してたことが頭の中から離れない。
471 :星 ◆HPyFqJcNpk :2005/11/06(日) 02:54:27 ID:/kAqJmX+
そして、更に僕の心を突き刺すような言葉が彼女から出てくる。
「ただ生きていくためだけに仕事をしなきゃいけないのかよ。
そんな命になんの価値があるっつんだよ」と。。。
彼女は会社の〆日の関係で、それから1週間後に退社した。
これで、僕は本当にお役御免になったと思ってた。
2005年11月07日
この記事へのコメント
コメントを書く
この記事へのトラックバック


